ソフトバンク:アローラ副社長が退任「孫社長が心変わり」 - Bloomberg
ソフトバンクグループのニケシュ・アローラ副社長は任期切れとなる22日の株主総会で退任する。孫正義社長の後継者候補だったが、孫氏が当面、社長を続ける意欲を示し、在籍2年足らずでの退任となった。
孫社長とアローラ副社長が21日夕、都内でブルームバーグなどに話した。8月で59歳になる孫氏は、アローラ氏を招へいした当初は60歳前後で社長を譲ろうと考えていたが、時期が近づくにつれて葛藤が生まれた、と説明。「正直な気持ちで、まだ社長を続けていきたいと伝えた」と話した。
アローラ氏は「孫社長が心変わりし、もっと仕事をしようと思った以上、クレイジーな天才である孫社長には、大きな収益を生み出し続けてもらうべきだ」と述べた。退任は2人で話し合った結果といい、アローラ氏は7月以降、顧問として残る。アローラ氏が600億円相当の自己資金で購入していたソフトバンク株は、21日付終値で孫社長が購入する。
アローラ氏はグーグルの最高事業責任者だった2014年に、孫氏に請われてソフトバンクに入社した。海外事業責任者として活発に合併・買収(M&A)を展開し、アリババ・グループ・ホールディングの一部保有株やゲーム開発会社スーパーセルの売却も主導した。15年3月期には166億円の報酬を受け取った。
宮内氏が副社長に
「退任をよく見せることは難しい」とBGCパートナーズ(シンガポール)の日本株セールス担当マネジャー、アミール・アンバーザデ氏は指摘。アローラ氏が任せられてきた役割を考えると「株価が上がることはまずないだろう」と分析した。
アローラ氏の後継の副社長には、宮内謙取締役が再び就任する。海外での投資活動や事業は孫氏のほか、ロナルド・フィッシャー取締役らが引き継ぐ。孫氏はアローラ氏の投資手法から、保有資産を「現金化することの大切さも学んだ」と説明。アリババやテンセントの売却により、「資金的余裕ができたことで、投資機会があれば速攻で動ける」と述べた。
孫氏はアローラ氏を招へいした当初は60歳の誕生日を迎えたら、社長職を譲ろうと考えていたという。ただ残り1年余りとなった時点で、「やり残したことがいろいろある」と考え、職を譲るのが惜しくなった。「気持ちが成熟していないのにバトンを渡したら、渡した後にもめるのも嫌だ。だから正直に話したほうがいい」とし、「ニケシュには迷惑掛けたと申し訳ない気持ちでいっぱい」だと述べた。
後継者育成は、創業者の孫氏が経営判断の多くを担うソフトバンクの長期的な課題だ。孫氏は「少なくとも5−10年は社長のまま走りたい」と話した。
一部の投資家グループはアローラ氏の実績や適性に疑問を呈し、ソフトバンク取締役会に対し同氏の内部調査を行い、必要であれば解任するよう要求していた。ただ同社は、特別調査委員会が調査した結果として、評価するに値しない内容だとの結論に達したと20日に発表していた。