国民投票の結果を受けて辞意を表明したキャメロン首相の後任を選ぶ保守党の党首選挙は7日、329人の下院議員が2回目の投票を行いました。
この結果、国民投票で残留を支持したテリーザ・メイ内相が全体の60%余りに当たる199票を獲得し、これに続いて、離脱を支持したアンドレア・レッドサムエネルギー担当相が84票を獲得しました。
一方、離脱支持のマイケル・ゴーブ司法相は、46票を獲得しましたが、得票がもっとも少なかったことから、ルールに従って脱落しました。
これによって最終的な投票に進む候補者は、メイ内相とレッドサムエネルギー担当相の女性2人に決まりました。
結果発表のあと、メイ内相は「党内から横断的に支持を得ることができた。今回の投票は、保守党が私のリーダーシップのもとで1つになれることを示した」と述べ、自信を示しました。
一方、レッドサムエネルギー担当相は、投票前にロンドンで講演し「誰もEU離脱の決定をおそれる必要はない。新しい首相の重要な仕事は、イギリス経済の成功を保証することだ」と述べ、経済政策を主導することに意欲を示しました。
2人の候補者は、このあと全国を遊説するなどして選挙戦に臨み、およそ15万人とされる党員による投票を経て9月初めまでに新しい党首が選出されます。そして、エリザベス女王から、新しい首相に任命される予定で、党首選挙の候補者が女性2人に絞り込まれたことで、イギリスでは、1979年から1990年まで在任したサッチャー元首相以来、2人目の女性首相が誕生する見通しとなりました。
テリーザ・メイ内相は59歳。イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行などを経て、1997年に下院議員に初当選しました。保守党で初めての女性幹事長に就任するなど党内の要職を歴任し、2010年からはキャメロン政権で6年にわたり内相を務め、テロ対策や移民問題などに取り組んできました。クールで敏腕というイメージから「氷の女王」と呼ばれる一方で、有名ブランドのスーツや靴などを着こなすことから政界のファッションリーダーとしても知られています。国民投票では、EU=ヨーロッパ連合への残留を支持しましたが、急増しているEU加盟国からの移民の問題に懸念を示してきたこともあって離脱派、残留派の双方から幅広い支持を得ており、今回も全体の60%余りの票を獲得しました。
一方、アンドレア・レッドサムエネルギー担当相は53歳。国民投票でEUからの離脱を支持しました。およそ25年にわたって銀行や金融機関で働いたあと、子どものころからの夢だったという下院議員に2010年に初当選しました。
3児の母親で、乳幼児や障害がある子どもたちと、その保護者への支援を強化するため、4年前にはみずから慈善団体を設立しています。離脱派を率い、次の首相の最有力とされながら、党首選挙への立候補を取りやめたジョンソン下院議員が支持を表明していて、こうしたことも得票を重ねた要因とみられます。
英EU離脱とトランプ躍進で危惧される「エリートの弱体化」|岸博幸の政策ウォッチ|ダイヤモンド・オンライン
この実験の結果をざっくりとまとめると、参加者が平均的な米国人の場合は約半数が効率性よりも公平性を重視した行動を取ったのに対して、参加者がイェール大学ロースクールの学生というエリート予備軍の集団の場合は、逆に80%が公平性よりも効率性を選んだのです。イェール大学を卒業すればエリート集団に仲間入りできて自分は良い収入が期待できるので、集団の間での分配の公平性よりも全体のパイの大きさに意識が向いた結果ではないかと推測されています。
参考:http://www.umass.edu/preferen/You%20Must%20Read%20This/Distributional%20Preferences.pdf
この実験の結果を英国に当てはめて考えてみると、エリート層はEU残留でグローバル化を進めて英国経済の“効率性”を高めることを最大の価値と考えました。それに対して、一般大衆は、それよりも自分の収入や社会保障は大丈夫か、自分の仲間や地域コミュニティの暮らし向きは大丈夫かといった方を重視したと考えられるのではないでしょうか。そして、この“大丈夫か”という判断は、他者や社会の標準との比較に基づく場合が多いことを考えると、これは経済の“公平性”の実現を最大の価値と考えたと言うことができます。
このようにエリートと一般大衆で実現したい経済の価値の優先順位が異なっていたならば、一般大衆が経済学的には当たり前の結論(EU残留)に反対したことも納得できます。英国のEU離脱は、ある意味で一般大衆による合理的な判断の結果だったのです。
しかし、よく考えると、エリート層と一般大衆で実現したい経済価値の優先順位が異なるのは、別に最近始まった話ではなく、昔からよくあったことです。それでもエリート層は、効率性と公平性のバランスを何とか取りながら騙し騙し経済を運営してきたのに、なぜ今回は英国と米国と二つの大国でそれに失敗しているのでしょうか。
私もかつてエリートと言われる側にいた人間として自戒の念を込めて言うと、そうなる前に、日本のエリート層と言われる人たちは、もっと自分たちの考え、経済政策、そして社会システムを進化させて、効率性と公平性の双方を十分に追求できるようにしなければいけないのではないでしょうか。
英国経済の混乱はどう映る ポピュリズムの世界伝播なるか|金融市場異論百出|ダイヤモンド・オンライン
英国では国民投票後に与党も野党も激しい混乱に陥っている。実際にどのような形式でEUから離脱するのか、英政府が方針をまとめるのには時間がかかりそうだ。
しかし、ニューヨークの市場関係者からは、英ロンドンでの今後のビジネスをどうすべきかを先行して議論する必要があるとの話が聞かれた。ロンドンが持つ機能の何割かを欧州大陸の都市に移す場合、金融英語が達者な人材をそこで確保する競争は早い者勝ちになる。英国の離脱方針が正式に確定してからでは出遅れてしまう恐れがあり、見極めが重要となる。
一方、ニューヨークの市場参加者の多くは、Brexit支持者と、米大統領選挙で共和党の指名が確実視されるドナルド・トランプ候補の支持者との共通点に興味を寄せていた。グローバリゼーションやITの進展による、所得格差や移民の流入に不満を抱く米英の中間層は、エスタブリッシュメント(支配階級)や専門家の見解に飽き飽きしている。
米ゴールドマン・サックスやJPモルガンなど、主要投資銀行が7日、オズボーン英財務相との共同声明を発表し、ロンドンが国際金融センターの中心としての役割を継続できるよう支援すると表明した。
声明は「欧州連合(EU)を離脱するという英国の決断は、われわれが協力して対応することを決意した経済問題を明確に示した」とし、「われわれはこの日、ロンドンが主要な国際金融センターとしての地位を継続できるよう協力することで合意した」と宣言した。
英スタンダード・チャータード(STAN.L)、米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(BAC.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)の幹部らもオズボーン財務相と会い、声明に署名した。
英国不動産ファンドの解約騒ぎで、世界中の不動産ファンドに連鎖する動きが出ている。NYでも不動産ファンドの解約が押し寄せ、一時解約受付を中止するなど、世界的に不動産投資が止まりつつある。不動産ファンドの時価は軒並み大きな下落、バブル崩壊が始まった
— 松藤民輔 (@tamimatsufuji) 2016年7月8日