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 8月11日が「山の日」として国民の休日となるのに合わせ、県内の山岳関係者らが、比叡山から比良山系までを縦断する「比良比叡トレイル」の整備に乗り出す。既存の高島トレイルとつなげる予定で、完成すれば比叡山から長浜市西浅井町まで約130キロに及ぶトレイルコースが誕生する。将来的には鈴鹿山系など琵琶湖を取り巻く山々を巡る壮大なトレイル整備構想もあり、比良比叡トレイルはその第一歩の位置付けだ。

 比良比叡トレイルの整備を目指すのは、県山岳連盟や比叡山延暦寺おごと温泉観光協会など民間でつくる「比良比叡トレイル設立プロジェクト」。想定するコースは京阪坂本駅から延暦寺根本中堂、水井山を通って比良山系に入り、比良岳、武奈ケ岳を経て朽木温泉に至る約50キロ。コースの多くの場所から眼下に琵琶湖を眺められ、池や湿地などバラエティーに富んだ自然を堪能できるという。


 すでに山道はあるが、いくつもの道に分かれ一部は荒れている。プロジェクトチームでは今後、一本道のルートを定めて道標整備や地図作り、ガイド養成などに取り組む予定だ。中心メンバーで比良比叡自然学校の小川隆専務理事は「比良山系の自然や景色は大津の大きな魅力。世界文化遺産比叡山を歩けるのもインパクトが強く、観光客は増える」と意義を話す。


 比良山系の観光客は登山ブームも受け増加傾向にある。比良山系で路線バスを運行している江若交通は、2013年7月からJR比良駅と比良イン谷口を結ぶ比良登山線の運行を始め、毎年、前年比約5%増のペースで乗客は増えているという。


 比良山系の登山道にアクセスできる6路線には、住民の利用が減り存続が危ぶまれている路線もあるが、同社経営企画部は「登山客が増え収入が安定すれば『住民の足』の維持にもつながる」と期待を寄せる。このため、比良山系の立体地図を販売したり、登山客向け時刻表を配布したりするなど取り込みを強化している。びわ湖バレイも琵琶湖を一望できるオープンテラスを新設するなど、民間の受け入れ体制は充実しつつある。


 全国的に観光振興の一環で自治体がトレイル整備に関わるケースが増えている。京都市は市観光振興計画でトレイルを市の魅力向上要素の一つとして重視。市として京都府山岳連盟などでつくる「京都1周トレイル会」に加わり、分担金200万円を毎年支出し事務局も担う。「トレイルは『健康』を切り口にした観光商品にもなる」(市観光MICE推進室)と、PRチラシの作成・配布や雑誌売り込みなど余念がない。


 一方、比良山系の地元の大津市は最低限の道標整備などは遭難防止のため行うが、観光のための環境整備は遅れている。民間が比良比叡トレイル整備へ踏み出す中、観光振興を市政の重要課題とする市がどう関わるのか、注目される。


 比良比叡トレイルは高島トレイルとつなげる予定で、その先には、湖北を通り鈴鹿山系を経て湖南に至る滋賀一周のトレイル構想がある。


 構想を温め、今回のプロジェクトにも参加するNPO法人高島トレイルクラブの村田浩道代表理事は「道はすでにある。いかに分かりやすい一本道としてルートを定めて道標や地図を整備し、ガイドの仕組みをつくれるかが課題。それには県や市の力も必要」とする。また、高島トレイルでは年々外国人登山客の姿も増えてきている。外国人は日本の紅葉などに興味を持つが、日本の山の情報はあまり海外に発信されていない。それだけに村田代表理事は「日本一の琵琶湖を囲む山を歩けるというのは強みで、トレイル整備は外国人客の誘致にもつながる」としている。

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