多数決の代替案として最適な「ボルダルール」|「決め方」の経済学|ダイヤモンド・オンライン
「1位に3点、2位に2点、3位に1点」のように配点するボルダルールは、18世紀後半にフランス海軍の科学者ジャン=シャルル・ド・ボルダが考案し、はじめて数理的な分析を与えたものだ。
ボルダルールは仕組みとしては単純だから、ボルダ以前にもそれを考案した人はいる。15世紀の神聖ローマ帝国でブリクセン地方の大司教を務めた、ニコラウス・クザーヌスがそうだ。
彼は神聖ローマ皇帝の選出に、「神の意志を見つけるべく」、今でいうボルダルールを用いるよう提言していた(結局は採用されず)。クザーヌスはボルダのような分析は与えていないが、「この方法により、無限に起こりえる過誤を避けられる」と主張していた。
「無限に起こりえる過誤」の真意は不明だが、賢者として知られたクザーヌスのことだから、もしかすると票の割れを気にしていたのかもしれない。
ボルダルールのもとだと有権者は投票用紙に「2位」や「3位」も書けるから、票の割れは起こらない。国政レベルでのボルダルール実用例には、中欧スロヴェニアでの少数民族代表選挙がある。
ボルダルールは多数決とずいぶん異なるように見えるかもしれないが、実はどちらも分類上は「スコアリングルール」という同種に属している。スコアリングルールとは、順位に対して点数を付与する決め方のことだ。多数決は「1位に1点、2位以下はすべてゼロ点」とする極端な傾斜配点のスコアリングルールである。