経営にもイノベーションが必要である ゲイリー・ハメル/ロンドン・ビジネススクール 客員教授|「トップ・マネジメントの教科書」人と組織を動かすリーダー論|ダイヤモンド・オンライン
編集部(以下色文字):日本では、バブルが崩壊した直後、『セムラーイズム』(新潮社)という本が出版され、「異端の経営(マーベリックマネジメント)」を実践するブラジルのセムコという会社と、その経営者であるリカルド・セムラーが驚きをもって――その一方、疑いと批判をもって――紹介されました。
ハメル(以下略):セムラーは私の親しい友人の一人です。あいにく近況については明るくないのですが、彼は正真正銘の先覚者です。組織から官僚制を完全に排除したのですから(図表3「セムコ:ないないづくしの経営」を参照)。
彼の経営哲学はいたってシンプルです。「大人を大人として扱う」ことです。従業員への権限委譲(エンパワーメント)は、本来そういう前提の上に成り立つものでしょう。