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インタビュー:日銀は量の効果を検証すべき=富士通総研・早川氏 | ロイター

元日銀理事の早川英男・富士通総研エグゼクティブ・フェローは9日、ロイターとのインタビューで、日銀が9月に予定している包括的な検証では、円安などの効果をもたらさなくなっている国債買い入れなど「量」の効果を点検する必要があると指摘した。


年間80兆円の国債買い入れは行き詰まることが明白なため、長期金利ターゲットなど金利の抑制を主眼とした政策への転換が急務と強調した。


日銀は7月29日の金融政策決定会合で、次回の9月会合において2013年4月から「量的・質的金融緩和政策(QQE)」の下で進めてきた政策手段に関し、2%の物価目標を達成できていない現実を踏まえ、効果の検証を行うと公表した。


<量の拡大、もはや円安効果なし>


早川氏は、その検証において「年間80兆円のマネタリーベース(資金供給量)を拡大する『量』の政策の検証が必要」と指摘。量の拡大は、中央銀行保有資産の量の比率が為替を決める(ソロス・チャート)という外国為替市場の誤解に基づく政策であるとし、「導入当初は一定の効果をもたらしたが、現在は米国が資産拡大を終え、日銀が拡大を続けていても全く円安は進んでいない。ずるずる量を増やしても、円安効果がない現実を評価・検証するべきだ」とした。


<マイナス金利深掘りと長期金利目標組み合わせ、利回り曲線引き上げを>


また、日銀がすでに国債発行量の4割を保有しており、いずれ現在の大量買い入れは行き詰るため、政策を持久戦モードに切り替えるためにも「量」から「金利」に政策の目標を変更すべきと強調した。


今年1月のマイナス金利導入発表で、国債の年限別利回りを結んだ利回り曲線が平坦化し、金融機関の収益を圧迫しているだけでなく「年金の存続にかかわる」事態となっているのを重視し、「短期金利のマイナス幅を拡大し、長い(超長期)国債の買い入れを減らし、利回り曲線を立たせるのが急務」と指摘した。


その際、長期金利をある水準以下に抑制する「長期金利ターゲット」の導入も一案とし指摘。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長も、ブログで推奨しているとした。


日銀はすでに大量の国債保有しているため「年間20兆円など、今よりよほど小額の国債買い入れで、金利を低位に抑制できるだろう」との見方を示した。


量から金利への模様替えで市場が「緩和縮小」と解釈することで円高になるリスクを抑えるため「日銀が保有資産を売却はせず、バランスシートを縮小しないことを強調すればよい」と付け加えた。


<7月追加緩和は論理不明、誰も信じない物価見通しは不要>


早川氏は、日銀内でチーフエコノミストを長年務めてきた立場から、昨今の日銀の景気・物価見通しについても苦言を呈した。


7月は2017年度の消費者物価指数(生鮮除く、コアCPI)見通しを従来の1.7%のまま据え置いたにもかかわらず、追加緩和に踏み切ったのは「意味不明」と主張。


「恐らく当初は政策現状維持で貫くつもりが、政府の経済対策と平そくを合わせざるを得なくなったのだろう」と推察。7月の追加緩和が上場投資信託ETF)増額などにとどまったのは「国債の買い増しや、マイナス金利の深掘りが難しいからだろう。そうであれば『量の拡大に限界はない』と言うべきでない」との見方を示した。


同時に「これまで物価見通しを引き下げても、追加緩和を度々見送ってきたので、政策予見性が全くない」とも述べた。


さらに早川氏は「17年度に物価が2%に達するという、誰も信じていない物価見通しを日銀がいつまでも出し続ける状態が続くと、日銀事務方の物価見通しを公表しろ、との議論がわき起こる」と指摘。


そのうえで「事務方見通しと政策委員の見通しに大きなかい離があるようであれば、日銀の信認の問題となる」と警鐘を鳴らした。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20160720#1469011237

#リフレ #アベノミクス