鹿児島県の三反園知事は26日午後、九州電力に対し鹿児島県の川内原子力発電所を一時停止して安全性を再点検することなどを要請しました。
川内原発の一時停止を訴えて先月の鹿児島県知事選挙で初当選した三反園知事は26日午後、鹿児島県庁で九州電力の瓜生道明社長と面会しました。
三反園知事は「熊本地震のあと県民から不安の声が多く上がっている。川内原発をいったん停止して安全性を再点検、再検証してほしい」と述べ、瓜生社長に要請書を手渡しました。
要請書では、原発を直ちに停止したうえで施設の点検や周辺の活断層の調査を行い安全性を確認することや、事故の際に避難に使う車両の確保など自治体の避難計画への支援を求めています。さらに要請書では、正確な情報発信などについて改善策を検討し報告するよう求めているほか、原発に頼らない社会を作るため再生可能エネルギーの推進に協力してほしいと口頭で要請しました。
瓜生社長は「社に帰って真摯(しんし)に検討したい」と答えました。知事に原発を停止させる法的な権限はなく、今後、九州電力がどう対応するかが焦点となります。
九州電力は今回の要請とは別に、川内原発の定期検査に伴って1号機でことし10月から、2号機でことし12月から原子炉を停止する計画です。
鹿児島県の三反園知事は要請のあと、「できるだけ早くいったん停止してほしいという思いだ。九州電力は県民の声に真摯(しんし)に耳を傾けて誠意ある対応を取ってほしい」と述べました。
要請書を受け取ったあと九州電力の瓜生道明社長は「社に持ち帰ってしっかり内容を確認して検討を進めたい」と述べました。また、「熊本地震後、安全に問題はないと確認しているが、住民に安心してもらえるような対応を進めるとともに、原子力の安全性を継続的に高めていくことを第一の経営課題としてしっかりと対応したい」と述べました。
原発の運転に反対する鹿児島県薩摩川内市の市民グループの鳥原良子会長は「今回の知事の要請は住民の不安の声を反映したもので非常に評価しています。熊本地震という大きな地震もあり、安全性をもう一度確認することは当然で九州電力には1日も早く原発を止め、安全性や情報発信の在り方を確認してほしい」と話していました。
鹿児島県薩摩川内市の川内商工会議所の荒木貞夫副会頭は、「原子力発電所は薩摩川内市の経済を支える大きな企業の1つです。停止していた時は飲食業や宿泊業などに大きな影響がありましたが去年再稼働したことで、先が見えてきたという安心感が戻ってきています。今回のことでまた止まると元の状態に戻ってしまうという不安があります」と話していました。
鹿児島県の三反園知事の九州電力への要請について、原子力規制庁の松浦克巳総務課長は会見で、「川内原発は新たな規制基準の審査に合格し熊本地震が起こったあとも規制委員会は安全性に問題はないという判断していて、現時点で何か対応をとることはないと考えている。いずれにしても九州電力が対応を決めた段階で規制庁の対応も決めることになる」と述べました。