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中国は鉄鋼製品のもととなる粗鋼の生産能力について、5年間で最大1億5000万トン、ことしだけでも4500万トンを削減する数値目標を掲げて、過剰生産能力の削減を進めようとしています。
習近平国家主席も3日の演説で、「過剰生産能力の削減は、最も力を入れて現実的な措置をとっていて、言ったことはやり遂げる」と述べ、強い決意で取り組む姿勢をアピールしました。
しかし、地域の景気や雇用への影響を懸念する地方政府の圧力もあり、ことしの目標の達成率は、7か月経っても47%で、半分にも届いておらず、先月記者会見した中国政府の幹部は、「各地の取り組みにはばらつきがあり、一部の地域では削減が遅れている」と述べ、対応の遅れを認めています。


さらに、生産能力を削減しているにもかかわらず、中国国内では、ことし3月以降、鉄鋼製品の生産量が去年より増えるという事態も起きています。
鉄鋼生産が盛んな河北省にある製鉄所では、ことし7月に当局の指導を受け、「生産能力を削減する」として、高炉の一部を廃棄しました。しかし、先月下旬にその製鉄所を取材したところ、多くの高炉からは勢いよく煙が立ち上り、従業員の話ではこのところは増産の指示が出ていて、残業が増えているということでした。
この製鉄所の場合、今回、廃棄された高炉は、実は、長年使われておらず、いわば見かけ上の”能力削減”にすぎませんでした。


他方で、中国政府は経済が減速傾向にある中、景気下支えのためインフラ建設拡大などの政策対応を強化しています。このため、鉄鋼の需給が改善して商機と考えた工場が、維持していた生産能力の稼働率を高めることで、増産しているという構図です。
中国の鉄鋼の生産量が増加傾向を見せる中、余った鉄鋼が安い値段で輸出に回されることで、ことし7月までの輸出量は去年を8%上回り、各国の鉄鋼メーカーの業績悪化が懸念されているのです。
構造改革の推進で世界をリードしたい中国ですが、国際社会が注視する鉄鋼の過剰生産という課題の解決は道半ばで、その実効性が問われています。

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