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日本と投機家たちの戦い 為替市場への積極的な介入を | JBpress(日本ビジネスプレス)

浜田 宏一

 なかなかデフレから日本経済が脱却できない状況で、世間では、アベノミクスの成否を問う声が聞かれる。しかし、いままでアベノミクスは経済論理通り順調に運航してきており、安倍政権の前と現状を比べて前に戻りたい人がどれだけいるのだろうか。


 今、日本経済が胸突き八丁に見えるのは、つまり、アベノミクスに障害となっているのは、もっぱら為替市場における継続的な円高と、それに影響された日本の株式市場の低迷であるからである。


アベノミクスが開始されて以来、雇用、企業収益に対する貢献は著しい。失業率はほとんど3%近くに減少し、150万人の新雇用が創出された。企業収益は歴史的に見てもまれな盛況にあり、国と地方の歳入も21兆円増加した。

アメリカ政府がこれに強く反対することは確かである。めったに会見できない私にも、FRBの高官や財務省の元国際金融担当者は、為替介入でなく金融政策で為替に影響を与えよという変動為替制の原理論を説いてきた。経済学者の中には、「介入」という言葉を口にしたらすかさず、それは公の場では口に出せない言葉だと語気を荒らげてきた。


 しかしヘッジファンドや投機家は、金融政策による為替誘導を困難にしている。円高に賭ける投機家には、思惑が当たれば大儲け、当たらなくとも元々という一方的な投機の妙味が与えられている。逆に、日本は介入しないと皆が予想している場面で意表をついて介入すれば、一方的な投機ポジションをとっている者を有効に懲らしめることができる。


 外人投資家は、このままではまた1ドル80円台、70円台が戻ってくると恫喝してくる。現実的な脅しとは思えないにせよ、市場心理が嵩じると、 そのような事態を生じさせないとは断言できない。そうなるとアベノミクスも挫折である。


 もちろん、日本が円高に対処するには、介入でなくても、日本銀行が外債を買ってもいいが、外国はこれにも反対であろう。

 日本が為替操作国だというレッテルが張られて、TPPが実現しないというのがアメリカの殺し文句ある。円高が嵩じると今までこれほどうまくいてきたアベノミクスが失敗する恐れのある時に、外国の財務省のいうことばかりに従ってよいのだろうか?


 2つの可能性がある。


シナリオ1:じっくり我慢する。アメリカは喜ぶが、TPPが批准されるとは限らない。このままではアベノミクスは挫折の可能性は皆無ではない。このシナリオの唯一の希望は、アメリカ景気が勢いづいてFRBが利上げしてQEの出口から出れば、円高が反転しうる。財務省の家康型の政策が成功することになる。


シナリオ2:介入する、ないし日本銀行が外債を買う。アベノミクスの第1の矢は生き返る。TPPは霧散してしまうかもしれない。しかし日本経済には障害がなくなる。そもそも今の政治情勢で介入しなくてもTPPにどれくらい可能性があるのかも微妙な判断ではあるが、ある国際学会で、ある中央銀行の元高官は、「介入は予想外に、断固として行わなければならない」と語ってくれた。市場を驚かして、投機筋に負けないようにという意味であろう。「相手国が怒ったら」と尋ねると、「財務省や外務省を通じて怒らないように根回しをしておくのだ」という答えが返ってきた。


ヘッジファンドは勝手なもので、自分で為替市場に投機を仕掛けてアベノミクスを妨害しておいて、もっと強い薬を使えとせびってくる。言ってみればヘッジファンドは今やアベノミクスの失敗にかけているのである。彼らも、儲けるためにはそうするしかないのであろう。


 そして、このような投機業者を懲らしめることのできる手段を使えるのは日本の通貨当局だけなのである。

アベノミクス=円安株高政策
      ↓
     円高株安
      ↓
   アベノミクス失敗

浜田: 円高ヘッジファンドの所為

#リフレ#アベノミクス

日経平均株価終値は、6日より69円54銭安い1万7012円44銭。
東証株価指数=トピックスは、3.05下がって1349.53でした。
1日の出来高は、19億1584万株でした。
市場関係者は「取り引き開始直後は、170円を超える値下がりとなったが、円相場が1ドル=101円台で推移したことや日銀がETFと呼ばれる上場投資信託を買い入れるのではないかという期待から買い注文が広がったことで、値下がり幅が縮小した。投資家の間では、アメリカの追加の利上げ時期を見極めようと、日本時間の8日、発表されるアメリカの地区連銀の経済報告の内容に注目が集まっている」と話しています。