原田武夫です。おはようございます。先週から始めておりますIFIS株・投信コラムにおけるコラム掲載。先ほど2回目をアップしました。電通問題とユニクロ問題。ぜひご覧ください。そして拡散を。https://t.co/UtmIldoUcY
— 株式会社原田武夫国際戦略情報研究所 (@iisia) 2016年10月15日
そうである以上、先ほど述べたような伝統的な「矛盾の解決」はもはや達成されないというわけだ。なぜならば今やオーナーではなく、サラリーマン社長ばかりとなった大企業は株主といっても無数の個人投資家による株式保有を受け、「資本家」の陰が希薄であるのに対して、就労者(労働者)の側はツイッターやフェイスブックなどで時に強力な発信力を持つからだ。そのため、伝統的な「矛盾の解決」を図ろうとすると「ブラック企業だ」と非難され、全国民的な怨嗟の声が高まる中、大変なことになってしまいかねないのである。
そうした中で実のところ「グローバル化」という美名の下に我が国大手企業が盛んに始めているのがこの意味での「矛盾」の輸出とでもいう現象なのである。我が国マスメディアは大手企業がイコール、広告主であり、かつ日経平均株価に対して重大な影響力を(株価算定の際に決定的である加重平均の上で)持っていることから、この問題について不思議と真正面から触れることがない。しかし、実際には需給バランスの不調を「過酷な労働環境の輸出」という形で対処している我が国の有名企業は多いのだ。そして現地では我が国世論が全くうかがい知らないところで怒りの声が高まるどころではなく、ついには「日本人を狙い撃ちにしたテロ」という形で実力行使による「矛盾の逆解決」が図られつつあるのだ。先般生じたバングラデッシュにおけるテロ事件の背景にもそうした事情があることは、(海外リスク・マネジメントのプロフェッショナルを別とすれば)不思議と我が国企業関係者で知られていない。
そうした中で我が国の認定NPO法人であるヒューマンライツ・ナウは「ユニクロ」ブランドで知られるファーストリテイリング(証券番号:9983)がカンボジアにおける委託先工場で大量解雇を行い、現地で問題化していることを記者会見で明らかにした。中国においても問題が指摘されてきた同社だけに、今後の対応に注目が集まっている。