シリア情勢めぐる多国間協議 打開策示せず | NHKニュース
シリアでは先月、アサド政権と反政府勢力がいったん停戦に入りましたが、その後戦闘が再燃して停戦は崩壊し、仲介役のアメリカとロシアの2国間の協議も非難の応酬の末、打ち切られるなど、状況は悪化の一途をたどっています。
事態打開を目指し、アメリカとロシアは、15日にスイスで、トルコやサウジアラビア、イランなど関係国も交えて外相級の会議を開きました。4時間以上にわたった会議では再び双方の停戦を目指すことやアサド政権が包囲しているアレッポ東部への支援物資の搬送について意見が交わされ、今後も協議を継続させることでは一致しました。
しかし会議に参加したトルコのチャウシュオール外相は、「人道支援の必要性では一致したが、なにも決まったことはない」と述べるなど事態の打開策は示されませんでした。
シリアでは15日も、アレッポ東部などで政権側による空爆が続いたほか、政権側の地上部隊と反政府勢力の、激しい戦闘も起きていて、アメリカやロシアの対立が解けない中、市民の犠牲が増え続ける危機的な状況となっています。
シリア IS「聖戦の象徴」の町 奪還作戦が本格化 | NHKニュース
シリアの反政府勢力は15日、トルコとの国境に近い北部にありISの支配下にある町、ダービクの奪還作戦に本格的に乗り出しました。
シリアの内戦の情報を集めている「シリア人権監視団」によりますと、反政府勢力は、トルコ軍の地上部隊や空爆による支援を受けて、すでにISから周辺の村を取り戻したほか、ダービクにつながる主な道路を遮断し、町を包囲したということです。
ダービクは、イスラム教の預言者ムハンマドが、「不信心者との最後の戦いの場になる」と予言したとされ、ISはインターネット上で発行する機関誌の名前に使うなど、この町を「異教徒との聖なる戦い」を続けるうえでの象徴的な場所と位置づけてきました。
ダービクを奪還できれば、ISの戦闘員の士気をそぐことにつながると期待されていますが、人権監視団によりますと、IS側は、ほかの地域から戦闘員を集結させ、激しく抵抗する構えを見せているということで、作戦は難航が予想されています。