<債券買い入れ、中小企業も支援>
社債、カバードボンドの両プログラムの恩恵を、中小企業も実際に受けている。プログラムによって、大企業の発行が増えたが、銀行の貸し出し余地が生まれた面もある。
<ポルトガルの信用格付け>
仮に格付けが引き下げられれば、ポルトガルが発行するか、保証した市場性のある債券類は、金融政策オペの適格担保から除外され、公的部門証券買い入れ(PSPP)対象からも外される。
そうは言うものの、ポルトガルで目覚しい進展があったことを認識すべきだ。
<伊・スペイン国債需要>
イタリア、スペイン国債の需要が第3・四半期に減退しているかについては、あまり統計を深読みしないつもりだ。これまでは前向きな需要が続いてきた。ユーロ圏全体の動向に目配りしている。
<インフレ見通し>
インフレ率がいずれ緩やかなペースでECBの目標に近付いていくとの見通しは、現在の状況を踏まえ予測されたもので、異例の金融政策が実施されている状況などが考慮されている。
<安全資産の不足>
(買い入れ国債)の不足について討議し、国債が不足した場合にどう対処すべきかどうかに大半の時間が割かれた。ただ、現在では問題にはなっておらず、資産買い入れプログラムは順調に進んでいる。
<中銀の独立性>
中銀、または理事会の独立性が脅かされているとは思わない。
<マイナス金利>
現在の見通しに関する議論のなかで、マイナス金利や最も一般的には低金利について短く言及があったが、それによって金融政策の伝達が阻害されてはおらず、また実際にそうした状況を示す兆候はないというのがわれわれの出した結論だ。つまり低金利は機能しているということだ。
<債券は不足しているか>
実際に起きた場合を想定し、債券の不足に関して議論したが、現時点では問題になっていない。社債買い入れプログラム(CSPP)については予想を超える結果が出ている。
<資産買い入れ見直しの担当委員会>
(資産買い入れ)プログラムの円滑な執行を確実にするため委員会が引き続き進めているテクニカルな措置を評価した。
<異例の政策支援>
(異例の政策支援を)恒久的に実施していくことは可能かという質問に対する答えは無論「ノー」だ。われわれは自律的な収束を望んでおり、それは現在実施されている異例の政策支援なしの状況ということだ。
<緩和縮小、突然の終了はあるのか>
突然の債券買い入れ終了の公算は小さいと述べておきたい。
<理事会の討議内容>
時には、討議しなかったことを話すのも重要だ。緩和縮小や資産買い入れプログラムの意図する範囲について議論しなかった。
<政策変更は討議したのか>
まったくしなかった。
<インフレーション>
基調的なインフレが、納得できるほど上向くトレンドを示す兆候はまだみられない。
エネルギー価格動向などを背景に、インフレ率は向こう数カ月間、(伸びが)加速する公算が大きい。
金融政策措置や、予想される景気回復を追い風に、インフレ率は2017、18年に一段と上昇するだろう。
<経済リスク>
依然として抑制された外需や、複数部門で必要なバランスシート調整、低調な構造改革実施ペースが、ユーロ圏景気回復の重しになるとみている。
ユーロ圏成長見通しへのリスクは引き続き下向きで、主に外的環境に関わるものだ。
<大規模な金融緩和>
われわれは極めて大規模な金融緩和を維持することに引き続きコミットしている。これはインフレ率を中期的に2%弱の水準に持続的に回帰させることを確実にするのに必要だ。
<正当化されれば行動する>
正当化されれれば、われわれは今後も責務の範囲内で利用可能なあらゆる手段を活用して行動する。
<12月理事会>
2019年にかけての、マクロ経済に関する新たなスタッフ予想のほか、2017年3月、必要ならそれ以後まで、買い入れプログラムを確実、円滑に実行する選択肢をめぐる、ユーロシステム各委員会の検討内容がそろう。12月理事会での評価に役立つ。
<下方リスク>
(経済の)基調的なシナリオは引き続き下方リスクに依存する。
<回復>
(最近のデータは)ユーロ圏経済が引き続き緩やかながらも安定的に回復しており、インフレ率が従来の想定に沿って段階的に加速することを裏付けている。