政治家とか言ふ人たちは、日本とか朝鮮とか支那とかオロシアとかいつて、これを別々に見て外交のかけひきをするから、やり損なひが多いばかりではない、経綸もまた極めて小さくなるのだ。百年の長計などといつてもとても駄目だ。十年はおろか、たつた一年先のことさへも見透しが付かないではないか。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
おれは、国々を別々に見るといふことはしないで、東洋の二字の上より何事も打算するよ。それだから、今の外交家のする仕事は、おれの目には、まるで小人島の豆人間が仕事をするやうに見えるのだよ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
幕府の奴らも量見が狭くて、たゞ幕府のほかには眼が見えないから、勝を悪人だと言うて居たのだよ。見なさい、段々と悪人の名前が薄らぎて来るのはどうだね。みんな一寸先が見えないからのことだよ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
世間の人も人だ。西洋に行つて少しばかり洋書が読め、英語で談判でも出来れば、早今第一の外交家と仰いで居る。上も下も似たり寄ツたりのものサ。かういふ風では、やはり幕府の末路と同じやうになるかも知れないから、しつかりやつて貰ひたいものだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
人には余裕といふものが無くては、とても大事は出来ないヨ。昔からともかくも一方の大将とか、一番槍の功名者とかいふ者は、たとへどんな風に見えても、その裏の方から覗いて見ると、ちやんと分相応に余裕を備えてゐたものだヨ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日
今の人達に、この余裕を持つてゐるものがどこにあるか。おれの眼には、頓と見えないヨ。皆無だヨ。それを思ふと西郷が偲ばれるのサ。彼は常に言つて居たヨ。「人間一人前の仕事といふものは高が知れる」といつてゐたヨ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日
西郷などはどれほど大きかつたか分らない。高輪の一談判でおれの意見を通してくれたのみならず、江戸全都鎮撫の大任までを一切おれに任せておいて少しも疑はない。その度胸の大きいには、おれもほとほと感心したよ。あんな人物に出会ふと、たいていなものが知らず識らずその人に使はれてしまふものだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
西郷に及ぶことができないのは、その大胆識と大誠意とにあるのだ。おれの一言を信じて、たつた一人で、江戸城に乗込む。おれだつて事に処して、多少の権謀を用ゐないこともないが、たゞこの西郷の至誠は、おれをして相欺くに忍びざらしめた。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
政治家も、理窟ばかり言ふやうになつては、いけない。徳川家康公は、理窟はいはなかつたが、それでも三百年続いたヨ。それに、今の内閣は、僅か三十年の間に幾度代つたやら。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
世の中の事は時々刻々転変窮まりなきもので、機来り機去り、その間、実に髪を容れずだ。この活動世界に応ずるに死んだ理窟をもつてしては、とても追い付くわけでない。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日
おれなぞは、一つの方法でいけないと思つたら、更に他の方法を求めるといふ風に、議論よりはとにかく実行でもつて国家に尽すのだ。彼の大政奉還の計を立てたのも、つまりこの精神からだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日
おれはこの人間精神上の作用を悟了して、いつもまづ勝敗の念を度外に置き、虚心坦懐、事変に処した。それで小にして刺客、乱暴人の役を免れ、大にして瓦解前後の難局に処して、綽々として余地を保つた。これ畢竟、剣術と禅学の二道より得来つた賜であつた。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日
学問に凝り塊まつて居る今の人は、声ばかりは無暗に大きくて、肝玉の小さきことは実に豆のごとしで、空威張りには威張るけれども、まさかの場合に役に立つものは殆んど稀だ。みんな縮み込んでしまふ先生ばかりだよ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日
ドンナ大雨にも、大風にも、大地震にも、アノ石垣はタツタ一つでも狂うて、動いたことはない。昔の人は、今の人のやうに、人目に見えるやうなところに頓着しない。その代りに誰にも見えない地底へ、いくら力を籠めたか知れないよ。昔と今と違ふところは、こゝだよ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月13日
おれがこの歳をして居りながら、身心共にまだ壮健であるといふのも、畢竟自分の経験に顧みて、いさゝかたりとも人間の筋道を踏み違へた覚えがなく、胸中に始終この強味があるからだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月14日