北条義時は、国家のためには、不忠の名を甘んじて受けた。すなはち自分の身を犠牲にして、国家のために尽したのだ。その苦心は、とても硜々たる小丈夫には分らない。おれも幕府瓦解の時には、せめて義時に嗤はれないやうにと、幾度も心を引き締めたことがあつたツケ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
北条氏の憂ふるところは、たゞ天下の子民といふことばかりだつた。それゆゑに、栂尾の明慧が泰時に向つて、北条氏が帝室に対する処行につきて忠告した際にも、泰時は、いかにも恐れ多いことだけれども、民百姓のことを思ふと止むなくかくせざるを得ないと答へたさうだ。その決心は実に驚服すべしだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
我国で金貨の始まりは、足利時代だが、その義満といふ英主と、細川頼之といふ豪傑と、両人でうまく明を抱き込んで、表面は日本国王といふ封冊を受けておいて、さうして金貨の本手を取り込んだのさ。後世義満をかれこれ評する奴らは、畢竟読書眼の紙背に徹せない野暮の骨頂さ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
行政学を一冊読んで、天下の機関がうまく廻転すれば、世の中は楽なものだ。御前とか閣下とかそんな追従ばかり聞いて居らずに、大臣なども少しは飾り気のない巻舌でも聞いてみるが薬だヨ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
奉行が書生の取締をやかましくしていけない。木村などは門に錠をかけるのサ。皆が困つて夜になると塀を越して行く。己は錠をあけさして、叩き壊してやつた。木村に言うたのだ。『技術が出来ればソレで善う御座います。学が出来るか出来ないでお責めなさい。小節でかれこれ言ふべきものではありません』
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
本領を守つてどこまでもやり通すのが肝腎だ。仕事を為さんとするから種々失敗するのだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
どうも騒々しいよ。何の事もない、ただ騒々しいのだヨ。これが根のある事なら心配だが、何も根はないよ。ホンの葉だけだよ。天狗も、木端天狗で、風が吹けば飛んでしまふよ。ナニ、むつかしいものか。何でもありやしない。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
色々にして私をだますものもある。二三度もさういふ目にわざと会うのだ。そして、向ふに言うてやるのさ。『私の方では主意があつて、かう騙されるのだが、一体何が一番困つてさう、ウソを言ふのか、もう大抵にして本音を吐いたらドウだ』と言ふと大層驚いて、すつかり何もかも言うてしまふよ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
昔にも、お家のためだから生きるとか死ぬるとか騒ぐ奴がよくあつたが、それはみな自負心だ。うぬぼれだ。うぬぼれを除ければ、国家のために尽すといふ正味のところは少しもないのだ。それゆゑにもしそんな自負心が起つた時には、おれは必死になつてこれを押へつけた。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
お前も今日政府の役人であるから、天晴れ国家のために尽して居るのだとうぬぼれて居るが、試しにそのうぬぼれを除けて平気に考へて見るがよい。車夫や馬丁がその主人に仕へるほかに、なほ国家に尽すところがあるとすれば、お前のはそれに較べてどうだらう。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月15日
昔の人は根気が強くて確かであつた。免職などが怖くてびくびくするやうな奴は居なかつた。その代り、もし免職の理由が不面目のことであつたら、潔く割腹して罪を謝する。もしまた自分のやり方がよいと信じたなら、免職せられた後までも十分責任を負ふ。後は野となれ山となれ主義のものは居なかつた。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
事を遂げるものは、愚直でなければ。才ばかり走つてはイカヌ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
どうか、小さくならぬやうに。これだけと限つてしまふと、それより大きい事のあつた時、仕方が無いから。どうか、限らないやうに。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
国といふものは、独立して、何か卓絶したものがなければならぬ。いくら、西洋々々といつても、善い事は採り、その外に何かなければならぬ。それが無いのだもの。つまり、亜細亜に人が無いのだよ。それで、一々西洋の真似をするのだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
西洋は規模が大くて、遠大だ。チャーンとして立って居るから、外が自然に倒れるのだ。まるで、日本などは、子供扱ひだ。褒めてやつたり、叱つたりする。それで、善い気になつてるといふものがあるものか。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
ナニ、誰を味方にしようなどといふから、間違ふのだ。みンな、敵がいゝ。敵が無いと、事が出来ぬ。国家といふものは、みんながワイワイ反対して、それでいゝのだ。己などは、その見幕だつた。『みンな敵になつたから、これなら出来ます』と言つた。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
国といふものは、決して人が取りはしない。内からつぶして、西洋人にやるのだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
内で喧嘩をして居るからわからないのだ。一つ、外から見てご覧ナ。直きにわかつてしまふよ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日
百年の後に、知己を待つのだ。なにが、わかるものか。昔から、大功の有つた人は、人が知らないよ。久しうして後にわかるのだ。
— 勝海舟bot (@KatsuKaishuBot) 2016年12月16日