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日本国憲法 - 講義紹介 - 前期課程 - 東大の学び - UT-Life

日本国憲法」は駒場定番の人気授業である。今回は、非常勤講師として本講義を長年担当されている渋谷秀樹(しぶたに・ひでき)教授(立教大学大学院法務研究科)に、講義で心がけていることなどを伺った。

この講義を受けるのは1年生が中心ですから、そうした結論のところだけを教えるのではなくて、憲法的な発想の方法というか、憲法って基本的にこういうもので、憲法問題を考えるときにはこういうことはきちんと考えましょうということを教えます。その先の結論は皆さんにそれぞれ考えてもらえばいいことで、前提となる共通理解というか基本知識を教えることが、大学1年生に対する科目を担当する者としての責任だと思っています。特に憲法についてはいろんな考え方が対立しているので、どっちが良いとか悪いとかではなくて、皆さんが自分で選び取るためのベースになるところを教えるように心がけています。もちろん私自身の考え方を言うこともありますが、そこは色分けをしているつもりです。

ただそうはいっても私も研究者ですから、基本的なところを教えると同時に、先端的な考え方についても教えるように心がけています。

法学はどちらかというと論理の部分が多いですし、言葉の解釈から入るのが基本になってきます。法は論理と言葉からなっていますから、文三の学生にも結構良い答案がありますし、理系の分野も一定の論理で成り立っている学問ですから、別に理系だから不利になるのではなくて、むしろ論理的な思考が好きな学生であれば向いているかなというところもありますね。

真面目って大事ですよ。やっぱり真剣に取り組んでいることが感じられますね。特に東大生の場合は、勉強に対する真剣さというのが伝わってくるところがあります。

憲法は政治とすごく関わっているし、生活にも関わっているということを実感してもらうためにも、時事的な問題をできるだけ取り上げるようにしています。

「教育の受益者負担」ということが言われるけれども、教育の利益というのはその本人ではなくて社会が受けるわけでしょう。憲法26条が規定する教育を受ける権利は個人的な利益として考えられているけれども、教育を受けた人が社会でいろんな意味で還元してくれるわけで、そういうことまで憲法は語っているのではないかと思います。

秀才というのは辛いですよね。世間から見ると頭が良いというのは生きていくにも楽じゃないかというイメージがあるじゃないですか。でも秀才であればあったで、またその次の課題が出てきて次へ次へと勉強していって、結局秀才の方が辛い道を歩んでいるところもありますね。賢く生まれたのだから楽をすればいいのに、いつもその分余計に世の中から要請や期待が寄せられて、やらねばならないことが増えてくるわけです。おそらく東大生は将来仕事についてもそうなると思います。だからこそ、今はとにかく勉強してほしい。私が言いたいのは、そういう自分の置かれた立場というものを、辛いけれどもそれを自分に課された使命だと思って頑張ってほしいということです。将来的には世の中の役に立つ人になってほしいというメッセージが当然そこに入っていますが、学生のうちは自分の内面を高めることに徹してほしいと思います。今は自分のためだけに勉強することが、将来的には世の中の役に立つというふうに思ってもらいたいです。学生の時分から社会のために奉仕しましょうという考え方もありますが、私はそういう考え方には反対で、学生のうちは自分の能力や知識を高めることに徹してほしいですね。特に東大生に対してはそういうことをあえて言いたいと思います。自分の能力を高めることがむしろ東大生に課された使命で、それを将来的に社会にちゃんと還元できる、そうなるようにとにかく自分の内面を高めてほしいというふうに思いますね。

日本国憲法を教えるのもそれにつながっていますね。日本の国というのはどういう原理原則で動いているかということをしっかりと自分の中に埋め込んでもらったうえで、社会に出たときに行動してほしいと思いますので、そういう気持ちで教えています。

#勉強法