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 大写しの撮影手法が増えている背景にはエンターテインメント業界を取り巻く環境の変化がある。映画会社は作品がネット上で再生される機会が今後は増えることを理解している。ストリーミング(逐次再生)サービスが映画ビジネスに参入してくればなおさらだ。ワイドショットで撮影された映像はパソコンやスマートフォンの画面では見栄えがあまりよくない。そのため、見やすい大写しの撮影法が魅力的なのだ。

 映画カメラマンによると、撮影しながらモニター画面で確認する「ビデオアシスト」の手法が普及し、小さな画面に合う映像が好まれることがあるのも背景だ。安価なデジタルカメラの登場で異なるアングルによる大量の映像が撮影できるようになったため、物語の展開に必要というよりはシーンのつなぎや一瞬の中断に大写しが使われることもあるという。さらに、顔のシワなどをピクセルごとに修正できるソフトウエアが出てきたことで、完璧なクローズアップ映像がこれほど簡単に作れる時代はかつてなかった。

 一方、1秒もないような大写しを多用した映画が増えていることを快く思わない映画製作者もいる。全米撮影監督協会のキース・ヴァン・オーストラム会長は、クローズアップが映画全編を通して小さなクリフハンガー(続きが気になる終わらせ方)を数多く作る安っぽいやり方だと話す。ちょうどテレビのサスペンスドラマがコマーシャルに入る前に超アップの映像で気を持たせておくようなものだ。