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「パリ協定」は地球温暖化対策の国際的な枠組みで、2050年以降に世界の温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにすることを目標に掲げています。


アメリカのトランプ大統領は日本時間の2日午前4時半ごろからホワイトハウスで「私は国民との約束を守る」と述べ、パリ協定から脱退する方針を決定したと発表しました。
そのうえで、トランプ大統領は、世界最大の温室効果ガスの排出国、中国に言及し、「パリ協定のもとでは中国は温室効果ガスの排出を増やすことが許されている。アメリカにとってとても不公平だ」と不満を示し、アメリカの労働者や企業に公平な内容になるなら、再び交渉を行う姿勢を示しました。


パリ協定の規定では脱退は早くても2020年11月となりますが、中国に次ぐ世界第2位の温室効果ガスの排出国であるアメリカの温暖化対策が後退し、世界全体の機運に大きな影響が出ることが予想されます。


トランプ大統領は去年の選挙中、地球温暖化について「でっち上げだ」などと否定的な立場をとり、パリ協定から脱退すると主張していました。
このため公約を守り、アメリカ第一主義のもと環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先する姿勢を鮮明にする狙いがあるものと見られます。ただ国際社会がパリ協定にとどまるよう求めるなか応じなかった形で、反発が強まりそうです。

「パリ協定」は、地球温暖化対策の国際的な枠組みで、世界全体の温室効果ガスの排出量をできるだけ早く減少に転じさせ、2050年以降に実質的にゼロにすることを目標に掲げています。


おととし12月にフランスのパリで開かれた国連の会議「COP21」で採択され、去年9月、世界1位と2位の排出国の、中国とアメリカがそろって締結を発表したことで、各国が次々と締結し、去年11月に発効しました。
今月1日の時点で締結した国は、日本を含む146か国にのぼり、世界全体の温室効果ガスの排出量の8割以上を占めています。


パリ協定では、先進国だけに温室効果ガスの排出削減を義務づけた「京都議定書」と異なり、発展途上国を含むすべての国がそれぞれ目標を立てて対策に取り組むことが定められ、日本を含む多くの国がすでに2020年以降の削減目標を国連に提出しています。


アメリカは、オバマ前政権のもとで2025年までに温室効果ガスの排出量を2005年に比べて26%から28%、削減するという目標を提出し、日本は2030年までに2013年と比べて26%、排出量を削減するとしています。
ただ、現在の削減目標では、すべての国が目標を達成したとしても、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えるという、協定の目標は達成できない見込みです。


このため、各国は、国連に提出する削減目標を5年ごとに更新しさらなる削減を行うことが求められていて、目標をどう引き上げ、協定に実効性を持たせるかが課題となっています。


現在は、各国の削減目標の達成度合いを評価・検証するための具体的なルールなどを、来年12月に開かれる会議までに定めようと、交渉が重ねられています。

アメリカのトランプ大統領は去年の大統領選挙中、地球温暖化について「でっち上げだ」などと述べ、否定的な立場をとり、パリ協定から脱退すると主張していました。
そして、大統領就任後すぐに、オバマ前政権では環境保護の観点などから認められていなかった原油パイプラインの建設計画を推進するよう指示するなど、環境問題よりも雇用の創出を優先する姿勢を鮮明にしました。


さらに、地球温暖化対策を推進してきた環境保護局の長官に、オバマ前政権の温暖化対策を強く批判してきたスコット・プルイット氏を起用したうえ、ことし10月から始まる2018年度予算の政府案では、環境保護局の予算をおよそ30%削減するほか、発展途上国の温暖化対策を支援する基金への拠出をやめる方針を示しました。


また、3月28日にはオバマ前政権が進めてきた地球温暖化対策を全面的に見直すための大統領令に署名しました。この大統領令は、アメリカ国内のエネルギー生産を妨げる規制や政策を見直すよう関係省庁に求めるもので、オバマ前大統領が温暖化対策の柱としておととし打ち出した、全米の火力発電所からの二酸化炭素の排出を規制する「クリーン・パワー・プラン」も見直しの対象に含まれています。
さらに、大統領令ではオバマ前政権が禁止した国有地での石炭の採掘について規制を廃止するとしています。


こうした、トランプ政権発足後の対応から世界第2位の温室効果ガスの排出国であるアメリカの温暖化対策が大きく後退するのではないかと懸念されています。


トランプ大統領は就任100日となる4月29日に東部ペンシルベニア州で演説し、パリ協定について、「中国やロシア、それにインドが何も貢献しないのに、アメリカは何十億ドルも払う一方的な協定だ。合意を完全に履行すれば最終的にアメリカのGDP=国内総生産が縮小する可能性がある」と述べ、負担が重いと非難しました。


また、トランプ大統領は、先にイタリアで行われたG7サミット=主要7か国首脳会議で「自然環境はとても重要だ。私は非常に気にしている」とする一方、雇用の創出を重視する姿勢も示し、「問題を理解し、正しい決定をしたい」と述べ、各国からパリ協定にとどまるよう求められていました。そして、パリ協定から脱退するかどうかについて近く結論を出す考えを示し、トランプ大統領の判断が注目されていました。

「パリ協定」の脱退に関する規定では、「協定の締約国は、協定が発効した日から3年を経過したあといつでも、国連に対して書面で脱退の通告を行うことで、脱退できる」と定められています。
規定に基づくと、アメリカが、国連に対して、脱退を通告できるのは、パリ協定が発効した2016年11月4日から3年を経過して以降、つまり、2019年11月4日以降になります。さらに、脱退は、国連が脱退の通告を受けた日から「1年を経過した日、またはそれよりも遅い日」と定められているため、実際に脱退できるのは、アメリカが国連に脱退を通告した日から最短でも1年後となります。


このため仮に、トランプ大統領が2019年11月4日に脱退を通告したとしても、実際に脱退できるのは、2020年11月4日以降となり、次のアメリカ大統領選挙の投票が行われる、2020年11月3日までは脱退できません。


ただ、パリ協定を採択した国連の会議を開いている「気候変動枠組条約」そのものから脱退すれば、パリ協定からも脱退したものとみなすという規定があり、この条約は、通告から最短で1年で脱退が可能です。気候変動枠組条約は、温暖化対策に世界全体で取り組んでいくため1992年に国連で採択され、現在、190以上の国と地域が加盟していますが、過去に、この条約から脱退した国はありません。

トランプ大統領が脱退を決めた背景にはオバマ前政権からの政策転換を打ち出しアメリカ第一主義のもと、環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先する姿勢を鮮明にする狙いがあるものと見られます。
トランプ大統領は去年の選挙中、地球温暖化について「でっち上げだ」などと批判し、否定的な立場をとり、パリ協定から脱退すると主張していました。


一方で、選挙後にはアメリカメディアのインタビューに対し「じっくりと考えている。先入観を持たずに取り組んでいく」と述べ、柔軟に対応する可能性も示唆しました。
アメリカメディアによりますと、その後、トランプ政権内ではパリ協定からの脱退を主張するバノン首席戦略官やプルイット環境保護局長官と残留を主張する長女のイバンカさんやティラーソン国務長官との間で意見が分かれ調整が続けられていたということです。


トランプ大統領としてはいわゆるロシアゲート疑惑への追及も強まる中、大統領選挙中の公約を守り、石炭業界などの支持をつなぎ止める狙いもあるものと見られます。


ただ、パリ協定からの脱退を表明したことで、世界第2位の温室効果ガスの排出国であるアメリカの温暖化対策が後退し、世界全体の機運に大きな影響が出るのは避けられそうにありません。
また、トランプ大統領G7サミット=主要7か国首脳会議で「自然環境はとても重要だ。私は非常に気にしている」とする一方、雇用の創出を重視する姿勢も示し、「問題を理解し、正しい決定をしたい」と述べ、各国からパリ協定にとどまるよう求められていました。このため国際社会の求めに応じなかった形で反発が強まることも予想されます。

パリ協定からの脱退については、二酸化炭素の大きな排出源となっているエネルギー関連企業の中からも反対する声が上がっていました。


このうち、大手エネルギー企業エクソンモービルのダレン・ウッズCEO=最高経営責任者は、今月上旬、トランプ大統領にパリ協定にとどまるよう求める書簡を送りました。
この中で、ウッズCEOは、アメリカは二酸化炭素の排出が比較的少ない天然ガスを多く産出しているうえ、石油やガス関連産業での技術革新によって、パリ協定の枠内で競争力を維持しており、残留して規制に関わる交渉を有利に進めることで、今後も経済成長が低いコストで実現できるとしています。


一方、石炭の採掘などを行っている、クラウド・ピーク・エナジーコリン・マーシャルCEOもトランプ大統領に宛ててパリ協定への残留を求める書簡を送っており、トランプ大統領による環境規制撤廃の動きに謝意を示す一方、残留して、より合理的な国際的な規制の枠組みを作るべきで、アメリカのリーダーシップなしではこれまでと同様の国際的な規制強化の動きが繰り返されるとしていました。

トランプ大統領がパリ協定から脱退する方針を決定したことを受けて経済界からは、反発する声も出ています。


このうち、アメリカの電気自動車メーカーテスラのイーロン・マスクCEOは、ツイッターに「大統領に政策を助言する協議会をやめる。気候変動は現実のもので、パリ協定を脱退することは、アメリカにとっても、世界にとってもよくないことだ」と投稿し、協定からの脱退を批判しました。


またネット通販大手のアマゾン・ドット・コムは、「われわれは引き続きパリ協定を支持している。気候変動に対応した政策がアメリカの競争力の向上や雇用の創出に役立つと信じている」という声明を出しました。


このほかIT企業のアップルやグーグル、それに大手金融機関のモルガン・スタンレーなどは、1日付けの主要紙にトランプ大統領にパリ協定にとどまるよう強く求める広告を連名で掲載していました。


この中で、各社は、「パリ協定は、革新的な環境関連技術の市場が拡大することによって雇用と経済成長を生み出す。アメリカの企業はこの分野で世界をけん引していて、協定からの脱退は、こうした市場への参入を妨げることになる」と訴えていました。


アメリカのホワイトハウスによりますと、トランプ大統領は1日、ドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、カナダのトルドー首相、それにイギリスのメイ首相と電話で会談しました。


この中でトランプ大統領はパリ協定から脱退する方針を決定したことを説明する一方、「アメリカは温室効果ガスの排出量を削減し自然エネルギー技術の開発をリードしており、トランプ政権のもと地球上で最もクリーンで環境にやさしい国になる」と強調し、引き続き環境保護のため取り組んでいく考えを伝えたということです。
そして、各国との協議を継続し環境問題などで協力を強化していくことで一致したとしています。

トランプ大統領としては先にイタリアで開かれたG7サミット=主要7か国首脳会議で各国からパリ協定に残留するよう要請されていたことから、みずからの決定への理解を求めた形です。


エルサレムユダヤ教キリスト教イスラム教の聖地があり、イスラエルは首都だと主張していますが、国際社会はパレスチナ側との交渉は決着していないとして首都とは認めず、各国政府は大使館を置いていません。


アメリカの歴代政権も議会がいったん決めたエルサレムへの大使館の設置を実行に移さず、半年ごとに決定を先送りしてきましたが、去年の選挙戦でトランプ大統領は、大使館を現在のテルアビブから、エルサレムに移転すると公約していたため、就任後の判断が注目されていました。


これについてホワイトハウスは1日声明を発表し、「イスラエルパレスチナの中東和平交渉を成功させる機会を最大限生かすために大統領は決断した」として、トランプ大統領がさらに半年間、先送りする措置をとったことを明らかにしました。


大使館をエルサレムに移転すればパレスチナだけでなくイスラム諸国の激しい反発を招くことは避けられないと見られ、トランプ大統領としても中東和平交渉への影響などを考慮して慎重な姿勢を示した形です。


ただ声明では「問題は移転を行うかどうかではなく、いつ行うかだ」として、将来的に移転を実行する考えに変わりはないと強調しているため、この問題が中東の大きな火種となる可能性は残されたままです。

アメリカのトランプ大統領エルサレムへのアメリカ大使館の移転を半年間、先送りしたことについてイスラエルのネタニヤフ首相は声明を発表しました。


このなかで、ネタニヤフ首相は「イスラエルの立場はアメリカ大使館はわれわれの永遠の首都エルサレムに置かれるべきだということで一貫している」と述べ、トランプ大統領の判断に不満を表しました。
その一方で、「今、大使館を移転させないという判断には失望しているが、将来的に大使館を移したいというトランプ大統領の姿勢に感謝している」とも述べ、イスラエル寄りの姿勢を見せるトランプ政権との間で良好な関係を維持したい思惑もにじませました。

アメリカのトランプ大統領イスラエルにあるアメリカ大使館のエルサレムへの移転の判断を半年間、延期したことを受けて、パレスチナ暫定自治政府アッバス議長の報道官は「アメリカの政権の和平や信頼構築に向けた真剣さを裏付けるものだ。われわれにはトランプ大統領と公正で永続的な和平の実現に向けてともに努力する準備がある」と述べ、歓迎する意向を示しました。