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この技術は、野生動物が森の泉に来た際、残した唾液や皮膚の断片などを通じて環境中に出すDNA、いわゆる「環境DNA」を解析するものです。


千葉県立中央博物館のグループは、世界的なデータベースに登録されている哺乳類660種類余りのDNAの情報をもとにコップ1杯の水にどのような動物のDNAが含まれるのか、一度に解析できる特殊な溶液を開発することに成功しました。


そして、東京農業大学の松林尚志教授らのグループとの共同研究でマレーシアの熱帯雨林の泉の水を解析したところ、オランウータンやアジアゾウなど6種類の絶滅危惧種のDNAが検出され、いずれの動物も現場に設置した自動カメラに映っていて、その精度が検証できたということです。


世界の熱帯雨林では、開発や密猟によって、生息する動物の4割に絶滅のおそれがある一方、生息場所の調査は自動撮影カメラなどを使っても難しく、より簡単な方法が求められています。今回の技術は、東南アジアなどで野生生物を保護するため活用される予定で、千葉県立中央博物館の宮正樹部長は「今回の技術で動物保護が進むと期待したい」と話しています。

東京農業大学の松林尚志教授は、野生動物の保護のためマレーシアの熱帯雨林に自動撮影カメラを設置し、長年、その生息状況を記録し続けてきました。しかし、自動撮影カメラによる調査は、数か月がかかるうえに、撮影した映像から動物を特定するのには、高度な知識と経験が求められます。また、長期間滞在して調査を行えない場所も少なくありませんでした。


今回、千葉県立中央博物館などのグループが開発した技術の有効性を検証するため調べた泉からは、わずか2、3日で、オランウータン、アジアゾウ、バンテン、センザンコウ、サンバー、ヒゲイノシシといった絶滅危惧種6種のDNAが検出されてその生息が確かめられ、数か月をかけて自動撮影カメラで確認していた種とすべて一致していました。


松林教授は「1杯の水から訪れる野生動物を検出できるかは、半信半疑だったが、正確に検出ができてびっくりした。効果的な保護につなげたい」と話しています。


松林教授らの研究グループでは、インドネシアやマレーシアなど東南アジアのほか、南米などでも地元の大学や行政機関と協力して野生動物の調査を進めたいとしています。