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最近見られるようになってきたのが、企業のバリューチェーンの機能の一部を「代替」、あるいは「追加」する形での協調戦略です。前者は、競合企業のバリューチェーンの形は変えずに、その一部を代替することです。かつては内製化が当たり前だった機能を、最近ではアウトソーシングするケースが出てきています。後者は、競合企業のバリューチェーンの中に新たな機能を追加することです。それにより、複数の企業を束ねたり、新たな顧客接点をつくったりするという特徴があります。

これらのケースに共通するのは、「見える部分は差別化、見えない部分は効率化」ということです(下図)。セブン銀行など、代替型の協調戦略を取る企業は、同業企業の見えない機能を代わりに引き受けることで規模の経済を追求し、利益を上げているのです。

もう一方の「追加型」の協調戦略の事例としては、ネット印刷通販ラクスルが挙げられます。同社自身は印刷機を持っていませんが、高品質な印刷を安く速く仕上げることを強みにしています。

ラクスルのケースからわかることは、たとえ成熟産業でも、新規事業を起こせる可能性があるということです。誰もが注目するような産業は、多くの企業が参入しようとするため、あっという間に“満員のバス”のようになってしまいます。むしろ「この産業はもうダメだ」といわれているような分野に着目し、新たな機能を加えて業界全体を活性化させるようなビジネスを考えることが有効でしょう。


ビジネスでは、他社と競争することを当たり前のように考えがちですが、産業が成熟すると、過当競争によって組織は疲弊し、利益率も低下します。このような状態から抜け出すには、「競争しない状態をつくることによって利益率を高める」という視点も大切です。その方法の1つが、ここで紹介した協調戦略=バリューチェーンの一部の機能に特化して、競争しない戦略を構築する方法です。ご自分の働く業界に置き換えて、考えてみてはいかがでしょうか。