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パキスタンでは、去年流出したいわゆるパナマ文書をきっかけに、シャリフ首相の子どもたちが租税回避地を利用して資金洗浄を行い、イギリスのロンドンに高級不動産を所有していたと指摘されたほか、首相本人も脱税などに関与していた疑いが浮上し、野党が最高裁判所に対し、首相の議員資格を剥奪するよう訴えを起こしていました。


この疑惑をめぐって、合同の調査チームを設置して首相の不正への関与を調べていたパキスタン最高裁判所は28日、「議会の誠実なメンバーとしてふさわしくない」として、シャリフ首相の議員資格を剥奪すべきだとする判決を言い渡しました。これを受けて、シャリフ首相は首相を辞任しました。


今後、与党を中心に後任選びが進められるものと見られますが、野党は、議会の早期解散と総選挙を求めており、政治的な混乱が懸念されています。

シャリフ首相は、東部ラホール生まれの67歳。製鉄業を営む一族出身の元実業家で、1980年代に政治家に転身し、1990年に初めて首相に就任しました。2度目の首相を務めていた1998年には、インドの脅威に対抗するためだとして核実験に踏み切りました。


しかし、1999年には、のちに大統領となるムシャラフ陸軍参謀長のクーデターによって失脚し、サウジアラビアに逃れ、事実上の亡命生活を送りました。その後、2007年に帰国が実現して政界に復帰。2013年に行われた選挙で、みずからが率いる政党が圧勝し、3度目の首相就任を果たしました。


シャリフ首相は、経済と財政の立て直しを重要課題と位置づける中、中国との経済的な結びつきを急速に強め、おととしには巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、大規模なインフラ整備を進めることで中国側と合意。深刻なエネルギー不足を解消するための発電所の建設や、物流を促進するための道路や港の整備などに取り組みました。


治安対策では、当初、パキスタン最大のイスラム過激派組織「パキスタンタリバン運動」との対話を模索したものの、その後、国内で相次いだテロ事件を受けて対決姿勢を強め、隣国アフガニスタンとの国境地帯などで過激派への軍事作戦を続けてきました。