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 安倍晋三首相がアクセルを吹かしているのか、やたらと「好景気」の文字を目にする。有効求人倍率は1.52倍で43年ぶりの高水準と喧伝され、世の中は楽観ムードだ。


 ところが水面下では大企業のリストラが進行している。「東京商工リサーチ」が8日発表したリポートによると、今年に入ってニコンウシオ電機、田中精密工業など数多くの上場企業が早期退職者を募集し、対象者の大半が40〜50代の中高年層という。


「好景気のうちに人員整理をしようということです。余裕があるので退職金の割り増しもできるし、求人倍率が高いので退職者も次の仕事を見つけやすい。リーマン・ショック直後と違い、前向きの人員整理といえます」(東京商工リサーチ情報本部の関雅史課長)


 とはいえ企業の多くは不採算部門にいる給料の高い中高年を削減し、その代わりに若者を雇い入れてITなどの新規事業を手掛けようとしている。要するに「おじさんよ、さらば」というのがホンネだ。出ていく中高年はイバラの道だ。

求人倍率1.52倍に踊らされてはいけません」とは労働問題に詳しいジャーナリストの溝上憲文氏だ。


「今の40代後半〜50代の社員はバブル入社組で、社員数の6分の1を占める大手企業もある。そうした企業は目立たないよう数回に分け、数十人〜100人単位でリストラをしています。中高年社員は“いまは求人倍率が高いから待遇のいい会社に移れる”と考えがちですが、これが失敗のもと。実際に求められているのは、ずばぬけて能力が高い人で、ほとんどの中高年にとって再就職は氷河期です。私の知り合いは大手地銀を辞めたはいいが次が見つからず、そば屋の出前になりました」


 人事コンサルタントの菅野宏三氏も同じ意見だ。


ウシオ電機を辞めてライバル企業の岩崎電気に入れると思ったら、大間違いです。中高年の再就職に平行移動はあり得ません。飲食チェーンや介護など経験したことのない仕事への職替えを余儀なくされるのがおち。大企業から中小企業に移ると文化の違いで苦労します。ぬるま湯にいた人が“月給の6カ月分を稼げ”とハッパを掛けられて働きづめになり、体調を崩すことになるのです」