クルド自治政府 住民投票“凍結” 引き換えに軍事作戦中止を #nhk_news https://t.co/0R4WRbOMNV
— NHKニュース (@nhk_news) 2017年10月25日
こうした状況を受けて、クルド自治政府は24日付けで声明を出し、イラク政府がクルド人自治区の内部でも軍事作戦を続けているとしたうえで、住民投票の結果を「凍結」することと引き替えに、イラク政府に対し、直ちに作戦を中止するよう求めるとともに、混乱の収拾に向けて対話に応じる考えを示しました。
今のところ、これに対するイラク政府の公式の反応は出されていません。
クルド側では、支配地域を失う結果を招いたことを受けて、自治政府トップのバルザニ議長の責任を問う声が上がっています。
「国を持たない最大の民族」とされるクルド人にとって独立は長年の悲願で、自治政府は、国際社会の反対を押し切ってまで住民投票を実施しながら、イラク政府による強い反発と内部からの不満に耐えられず、事実上の撤回を余儀なくされた形です。
イラク北部のクルド自治政府が、独立を求めて行った住民投票の結果を「凍結」する考えを明らかにしたことを受けて隣国のイラン政府は、今月15日から封鎖していたクルド人自治区と接する国境を25日、再開したと発表しました。
これは国営テレビが税関当局の話として伝えたもので、クルド自治政府からの要請を受けて決定したとしています。イラク国境に近いイラン西部には、大勢のクルド人が住んでいて、イラン政府は、クルド自治政府による住民投票が自国内でも分離独立の動きを刺激しかねないと警戒し、国境沿いで軍事演習を行うなど圧力を強めていました。
クルド自治政府“独立”凍結もイラク政府反応示さず #nhk_news https://t.co/z5hViyjHBP
— NHKニュース (@nhk_news) 2017年10月25日
イラクでは先月、北部のクルド自治政府が住民投票を実施し、独立賛成が9割を占めて、独立を求める民意が示されたと主張しました。しかしイラク政府はこれに反発し、クルド側が実効支配してきたキルクークの油田地帯をはじめ、双方が管轄権を争うすべての地域に軍を送って支配下に置き、一部で衝突が続いていました。
クルド自治政府が24日付けで出した声明では住民投票の結果を「凍結」する代わりにイラク政府に対し軍事作戦の中止を求めたうえで、混乱の収拾に向けた対話に応じると提案しました。イラク政府は対話の条件として住民投票の結果を無効にするよう求めており、今回のクルド側の提案に対してこれまでに公式の反応を出していません。25日にトルコを訪問したアバディ首相も「住民投票を中止させようとしたが、相談もないまま一方的に行われた」と述べるにとどまりました。
クルド自治政府の対応はトルコやイランといった周辺国やアメリカなどからも批判や圧力を受ける中で大きく譲歩した形ですが、イラク政府のクルド側に対する不信感は根深く、今のところ緊張は収まっていません。
イラク北部のクルド人自治政府が独立が多数を占めた住民投票の結果を凍結するなど中央政府に対して大きく譲歩する姿勢を示したことについて、自治区の中心都市アルビルの住民の間では落胆の声が多く聞かれました。
23歳の男性は「独立は100年前からのクルド人全員の夢です。自分の1票をむだにしたくありません。自治政府の決定は支持しません。独立を諦めたことになってしまうからです」と憤りながら話していました。
また65歳の運転手の男性は「自治政府の声明の内容を読みとても悲しくなりました。私は命をかけてクルドの国家の実現を追い求めていくつもりです」と話していました。
一方で「自治政府の決定は支持します。ただ、2年ほど我慢して状況がよくならないようなら、また別の方法を探らねばなりません」とあくまで一時的な妥協だとして一定の理解を示す人もいました。