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『アメリカの世紀は終わらない』(ジョセフ・S・ナイ)

P186

 逆に歴史家ならば、次のように主張することも可能だ。過剰な関与で極大化主義者になった時期こそが、関与を縮小した時期よりもアメリカのパワー転換能力が被ったダメージは大きかったと。ウィルソン大統領はグローバルな理想主義を掲げたが、そのことへの政治的な反応として強烈な孤立主義が浮上し、結果的にアメリカのヒトラーへの対応が遅れた。ケネディ大統領とジョンソン大統領によるベトナムへの戦力投入の拡大(エスカレーション)が一九七〇年代の内向き志向をもたらした。ブッシュ大統領イラク侵攻がすでに挙げたような世論調査の数字を作り出すことにつながった−−−などと指摘できよう。

『国際秩序』(ヘンリー・キッシンジャー)

P314

 偉大な指導者たちは、大きな矛盾を体現していることが多い。

個人同士の信頼、国際法の尊重、人道的な目標、善意といった正統性に基づく平和を、ルーズベルトは願っていた。しかし、あくまで力を根本とするソ連の手法に直面すると、ルーズベルトは権力の座について時代を代表する人物になるのに役立ったマキャヴェリの面を復活させた。四期目の四ヶ月目、ソ連との関係の設計が完了する前に死去したために、どういう均衡を構想していたのかという疑問の答えは出なかった。ルーズベルトによって政策決定からはずされていたハリー・S・トルーマン副大統領が、にわかにその役割を担うことになった。

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