「マネーの魔術史」が、新潮社『フォーサイト』に掲載されています。第24回は「『金が中央銀行の金庫に眠る』という不思議な話」です。https://t.co/cQv4gBdZD7
— 野口悠紀雄 (@yukionoguchi10) 2017年11月9日
アメリカが公的に保有する金は、ケンタッキー州フォートノックスにあるFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の要塞化された金庫と、ニューヨーク連銀の地下金庫に管理されている。
他の国はどう保管しているか? 実は、ドイツが保有する膨大な金準備の大半は、外国に置かれているのだ。第2次世界大戦でドイツが敗北して以来、戦勝国であるアメリカ、イギリス、フランスの中央銀行が預かっている。なぜそうしているかと言えば、「ソ連軍がドイツに侵攻して金塊を奪うかもしれない」からだという(!)。実は、日本もそうであって、公的金準備は、アメリカなどに預けられている。
これだけでも不思議な話だが、さらに不思議なことに、戦後、ドイツ政府の関係者がアメリカにあるドイツの金塊を実際に見せてもらったことは全くないのだそうだ。ドイツが在庫確認を求めても、アメリカは1度も応じたことはないという。そこで、「金は実際には売却されてしまったのではないか?」「地下金庫に眠っているのは、実は偽物ではないか?」といった噂が、まことしとやかに囁かれる。
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