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南北の軍事境界線にあるパンムンジョムで、今月13日北朝鮮軍の20代半ばの男性兵士が軍事境界線を越えて韓国側に亡命し、その際北朝鮮側から40発余りの発砲を受け腹や肩などを負傷して、ソウル近郊の病院に緊急搬送されました。


この事件で、国連軍司令部は、22日記者会見を開き、韓国側の監視カメラが捉えた当時の映像を公開しました。


そして調査の結果、北朝鮮側が、韓国側に向けて発砲するとともに、軍事境界線を越えて韓国側に侵入していたことが確認され、朝鮮戦争の休戦協定に違反したとして、北朝鮮に対し、再発防止のための協議を行うことを求めたと発表しました。


これに対して、北朝鮮は、2009年を最後に国連軍との協議を行っていないうえ2013年3月には、アメリカ軍と韓国軍による定例の合同軍事演習に反発して、休戦協定の白紙化を一方的に宣言した経緯もあり、協議に応じるかどうかは不透明です。


一方、亡命した兵士の治療に当たっている病院は、一時意識不明の重体となっていた兵士が、22日までに意識を回復したと発表し、韓国軍は兵士の容体が安定するのを待って情報機関の国家情報院や韓国統一省とともに、詳しい事情を聴くことにしており、亡命の動機や経緯などの解明が焦点となります。

朝鮮戦争の休戦協定は「最終的かつ平和的な解決が達成されるまで」の措置として、1953年7月に南北の軍事境界線にあるパンムンジョムで、休戦に反対した韓国を除き、アメリカを中心とする国連軍と、北朝鮮、それに中国との間で結ばれました。


休戦協定では、軍事境界線を挟んで南北に2キロずつ、合わせて4キロを非武装地帯とすることが定められました。そして非武装地帯でのいかなる敵対行為も禁止しているほか、相手側の司令官の許可なしに軍事境界線を越えることは認められていません。


また休戦協定に基づいて、双方の軍高官からなる「軍事休戦委員会」や、スイス、スウェーデンなどの代表からなる「中立国監視委員会」が設置されました。


一方、北朝鮮は、2013年3月、アメリカ軍と韓国軍による定例の合同軍事演習に反発して、休戦協定の白紙化を一方的に宣言しています。

国連軍司令部が公開した監視カメラの映像によりますと、亡命した兵士が運転する軍用車は、ヘッドライトをつけて猛スピードで、建設にかかった時間にちなんで名付けられた「72時間橋」をわたって、パンムンジョムのJSA=共同警備区域に進入していきます。


その後、軍用車は、北朝鮮側の施設、「トンイルガク(統一閣)」の前を通って、その近くにあるキム・イルソン(金日成)主席の直筆のサインが彫り込まれたモニュメントの前を右折し、木陰に入ったところで、タイヤが排水溝にはまって動けなくなりました。


一方、境界線のすぐ近くにある北朝鮮側の施設、「パンムンガク(板門閣)」の前に立っていた警備兵たちは、異変に気付いてて軍用車の方向に一斉に駆け出します。兵士は、繰り返しアクセルを踏み込みますが、車を動かすことができず、やむなく運転席から降りて軍事境界線に向かってまっしぐらに走り出します。


その直後に、北朝鮮軍の警備兵4人が駆けつけ、兵士の背後から拳銃や自動小銃を発砲します。このうちの1人は、あとを追って軍事境界線を越え韓国側に入ってしまい、数秒後に慌てて北朝鮮側に戻りました。


また、キム主席のサインのモニュメントの前では、銃を持った10人余りの警備兵が集まり、状況を確認し合っていました。


さらに、韓国側の施設の脇で倒れている兵士を、ほふく前進で接近した韓国軍の兵士3人が引き寄せ、その後、背負って小走りで安全な場所に運びました。