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 ラディッシュ組はクッキーの誘惑と戦うために「心の筋肉」(意志力)を使ってしまったが、クッキー組は「やる気の燃料タンク」が満タンだったため、全力で問題に取り組めたからだ。


 バウマイスターは同じような実験を繰り返し行ったが、結果はいつも同じ。実験の前半で誘惑に勝ったり、難しい問題を解いたり、難しい判断を下したりして“心の筋肉”を酷使した被験者は、焼きたてのクッキーを食べるといった簡単なタスクをこなした被験者に、精神力が必要となる後半でどうしても勝てなかったのである。

 体に負荷をかけたあとに休息すると、前よりタフな体になるように、心もストレスを受けたあとに回復すると、前よりも強くなる。


 科学者たちによると、人間は誘惑に抵抗したり、物事を深く考えたり、強く集中したりするたびに、同じことが前よりもうまくできるようになるそうだ。かつては意志力には限界があるといわれていたが、最新の研究はそれに異論を唱えており、小さな成長を積み重ねることで人は鍛えられ、やがて大きく成長するといわれている。


 いずれにせよ、意志力であれ、自制心であれ、いかなる知力であれ、心を酷使し続けるとやがて疲れ果ててしまうだろう(少なくとも効率は落ちる)。かといって、まずは小さい問題を解決して力をつけなければ、精神的にタフで難しい問題を解決できるようにならない。


 結局、行き着くのは「負荷+休息=成長」という原点なのである。

 この数年間、ぼくたちは幅広い分野で好成績を維持する人々が、何を実践しているかを調べる機会に恵まれた。


 そして、最高のコンディションを維持して自身の分野でトップに君臨する人々を研究し、インタビューし、場合によっては一緒に働く機会にも恵まれた。


 調べるうちに、彼らの仕事の流儀が驚くほど似ていることがわかった。


 オリンピックを目指すアスリートであれ、まったく新しい数学理論を打ち立てようとする学者であれ、傑作を生みだす芸術家であれ、健康を維持しながら長く活躍し続ける人たちには、共通する原則があったのだ。


 どの原則も、安全で合法かつ道徳的で時の試練に耐えたものばかり。なおかつ歴史に残る偉大な人々が実践してきたことでもある。


 それらが今、最新科学によってなぜ効果があるのかが明らかになった。科学的に解明されたことで、誰でもこれらの原則を実践できるようになったのだ。

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