なぜMITで「ゲーム理論」の授業が人気ナンバーワンとなったのか? - 世界の一流企業は「ゲーム理論」で決めている https://t.co/FAiTJsg3QI
— ダイヤモンド・オンライン (@dol_editors) 2017年12月4日
ゲーム理論について多少習った人でも、それを現実世界でどう利用できるのか、想像がつかないという場合がほとんどだ。
現実世界における戦略の相互作用は、ゲーム理論の本や教室で提示される例のような単純なものではない。本当は何のゲームが展開されているのか、それすらも不明確という状況も多い。本書は、そうした複雑さから逃げるつもりも、そんなものは存在しないというふりをするつもりもない。むしろ、ゲームチェンジで新たな機会や手段を生み出す場として、現実世界の複雑さや曖昧さを歓迎していきたい。
そもそも、ゲームのプレイヤーは「合理的」である、という前提で考えるのは妥当なことだろうか。合理的であるならば、次に挙げる2つの条件を備えているはずだ。
(1)自分を取り巻く世界について、そして自分が人生で求めるものについて、終始一貫した視点をもっている
(2)つねに自己利益を追求する
だが、そんな厳格な条件をクリアする人間がいるだろうか。いついかなるときにも自分の真の望みを把握し、自己破壊的な衝動に絶対に屈さない人間が、はたしているのだろうか。絶対的に合理的な人間など存在しない。それは自明のことだ。
幸い、ゲーム理論は合理性を求めてはいない。潜在的に不合理なプレイヤーがかかわる状況で──自分自身が愚かなふるまいをする可能性も含めて──いかに戦略を立てるか、そのヒントとしてゲーム理論は力を発揮するのである。
このコースの最大の目玉は、修了課題として取り組むプロジェクトである。受講生は、重大な戦略的試練に直面した人物(実在の人物でも、架空の人物でもよい)を特定し、その相手に与えるべき有益なアドバイスを練る。説得力があり、専門用語に依存しないアドバイスでなくてはならない。
こうした受講生の研究成果を受けて、私ははっきりと確信した。ゲーム理論は、知恵と謙虚さを伴って適切に駆使するならば、パワフルかつポジティブな変容を促す力となるのだ。本書執筆の最大の狙いは、この喜ばしい気づきを広げること。そして、読者であるあなたをもゲーム理論の使い手へと転じさせることだ。参戦しているゲームで勝つだけではなく、ゲームチェンジを仕掛け、戦略をとりまく生態系(エコシステム)を変革し、あなた自身の、そして私たち全体の人生をよりよく変えていく。そうしたポジティブな効果を最大化するべく、ゲーム理論を活かす能力と武器を身につけてほしいと考えている。
もちろん、私たちが直面する厄介な問題の多くは、ゲーム理論だけでは解決できない。個人のレベルでは、家族との問題、職場での問題がある。国家レベルでは、政治の問題、公共政策の問題がある。そしてヒトという種としても、疫病や、あるいは憎悪に満ちたヘイト思想の広がりに対して、ゲーム理論だけを武器に戦っていけるわけではない。
しかし、こうした場面に対してはっきりと開かれた目で戦略的思考ができるならば、それは問題の原因や、寄与している要素を見定める力になる。さらにゲーム理論を適切に応用すれば、問題への対策がむしろ深刻な害をもたらす可能性を浮き彫りにし、手遅れになる前に現実的な解決策を見つけていくことができる。
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171203#1512297157
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171201#1512126434
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20171102#1509618688