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安倍は9月12日、ロシアのウラジオストクでの東方経済フォーラムに参加し、そのかたわらで中国の習近平主席と会談し、日中が協力してトランプの懲罰関税戦略に対応していくことを決めた。10月には訪中も決めた。日本がやりたがっていた日米vs中国でなく、中国を有利にする日中vs米国の構図になっている。中国と組んで米国と戦うことを宣言した安倍は、ネトウヨ的に言うと「反米主義のアカ、売国奴」そのものだ(笑)。

覇権放棄が基本戦略であるトランプは、日本を中国の方(非米側)に追いやるのが暗黙の目標だ。トランプは日本が受け入れられない無茶な貿易要求を続け、安倍が拒否すると怒って関係を悪化させた。米国の覇権を低下させたい非米側の中国やロシアは、トランプに突き放された安倍を味方につけようとすり寄り「一緒にトランプの無茶苦茶なやり方と闘い、自由貿易体制を守りましょう」とけしかけている。中露としては、今が安倍の日本を取り込むチャンスだ。安倍が中露に取り込まれるほど、トランプの覇権放棄の目標が、対日関係において達成される。

安倍の日本を困らせているトランプの覇権放棄策は、貿易戦争だけでない。米朝和解の策略も、米国が日韓を従えて北と恒久対立する軍産好みの冷戦構造を破壊し、在韓・在日米軍の撤退につながるので、永遠の対米従属を国是としてきた官僚機構が支配する日本にとって大きな脅威だ。

朝鮮半島が平和になると、在日米軍の任務も終わる。半島和平後、米国が、中国やロシアを仮想敵として在日米軍を継続駐留させる可能性は多分ゼロだ。米国は国際相対的に国力が低下しており、他の大国との敵対策を放棄する方向だ。安倍政権は、米政権がトランプになった昨年から、中国やロシアとの関係改善につとめている(対露はもっと前から)。北朝鮮が敵でなくなっても中露を仮想敵として在日米軍が残る可能性があるのなら、日本は中露に接近しない。北が敵でなくなったら在日米軍や日米同盟が終わりになるので、安倍の日本は中露に接近している。

マスコミなど日本の言論界の権威筋が、現実を国民に伝えたくない官僚機構の傘下にあるので、今の外交の失敗状態や、在日米軍の撤収が近そうであることが、日本ではほとんど考察されていない。現実の日本は、トランプによって、貿易と安保の両面で、いやいやながらの対米自立に追い込まれている。安倍は、トランプと喧嘩したくない。だが安倍が、トランプから喧嘩を売られた状態で、親しくしたいと思っている習近平プーチンに会うと「一緒に、暴虐なトランプと戦おう」と扇動され、中露と親しくしたい安倍がそれに対して作り笑いしながら曖昧な感じで「いいね」と言うと「日本は、中国やロシアと一緒にトランプの貿易戦争に対抗すると(力強く)表明した」という報道になる。

北方領土問題の棚上げは、プロパガンダ漬けで非現実・歪曲的な日本の「世論」の許すところでないので、東京の政府は「領土問題を解決してからでないと和平条約を結べない」と、とりあえず従来どおりの表明をした。

北方領土問題を棚上げ(せいぜい2島返還)して、日露和平条約を結ぶしかない。それが見えているプーチンは「早い方がいいだろ」と安倍に持ちかけ、安倍も否定しなかったのだが、残念ながら日本国内では、このあたりの現実が見えない体制が作られている。

日本では長年、官僚機構と傘下のマスコミなどによって「米国との同盟関係がないと日本の安全が守れない」という、誇張された対米従属の神話が常識として定着している(実のところ、経済大国である日本は、対米自立状態で十分に自衛できる)。安倍は当選したトランプと親密な関係を築き、以前の日米関係の主軸だった日本官僚機構と米軍産複合体との関係を上書きし、権力を維持してきた。

トランプは、覇権放棄のため、あらゆる同盟国に厳しく接する傾向が増しており、日本だけトランプと親しくしてもらうことはできない。トランプ以前に日本官僚機構が従属していた米国の軍産複合体復権する見通しもない。日本の体制がどうであろうと、朝鮮半島が安定したら、米軍は日本から出て行く。対米自立を強いられていく以上、日本は中露や韓国北朝鮮と仲良くせざるを得ない。安倍の外交姿勢は、日本の現状に合致している。

冷戦後、世界的に対米自立・多極化対応策は、リベラルな左側のルートより、強権的な右側のルートの方が実現可能性が高い(エルドアン、ネタニヤフ。プーチン習近平も)。鳩山小沢が09年に試みて失敗した日本の対米自立・アジアの一員化、脱米入亜を、安倍(とその後継者)が成功させる可能性が少しずつ高まっている。

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