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昭和60年1月、当時の熊本県松橋町、今の宇城市の住宅で59歳の男性が刃物で刺され殺害された事件で、熊本市の宮田浩喜さん(85)は殺人などの罪で懲役13年の刑が確定して服役したあと、無実を訴えて再審を求めています。

宮田さんの弁護団は、凶器とされた小刀の形と遺体の傷が合わないとする専門家の鑑定などを新たな証拠として提出し、去年11月、福岡高裁が、捜査段階での本人の自白は客観的な事実と矛盾して信用できないとして、熊本地裁に続いて再審を認める決定を出していました。

これに対して検察が特別抗告していましたが、最高裁判所第2小法廷の菅野博之裁判長は、12日までに、退ける決定を出し、再審を認めました。

今後、熊本地方裁判所でやり直しの裁判が始まることになり、事件から30年余りがたつ中、検察が最高裁の決定を覆す証拠を提出するのは難しいとみられます。

殺人の罪について無罪が言い渡される公算が大きくなりました。

いわゆる「松橋事件」は、昭和60年の1月に当時の熊本県松橋町、今の宇城市の住宅で、1人暮らしの59歳の男性が刃物で刺されて殺害されているのが見つかった事件です。

遺体が見つかったおよそ2週間後に、被害者の男性と将棋仲間だった熊本市の宮田浩喜さん(85)が殺人などの疑いで逮捕されました。当時、51歳でした。

警察の取り調べに対し自白したとされましたが、5回目の裁判で、「うその自白をさせられた」と無罪を主張。物的証拠がほとんどなく自白の信用性が争われましたが、裁判所は、供述内容に不自然な点はなく信用できるとして懲役13年を言い渡し、平成2年に刑が確定しました。

宮田さんは判決後も無実を訴え続け、弁護団が宮田さんの服役中に再審請求に向けて事件の証拠を調べたところ、自白の供述と矛盾する点が出てきました。

捜査段階で宮田さんは、「凶器の小刀にシャツを切り取った布を巻き付け、犯行後に燃やした」と自白していましたが、熊本地方検察庁に5枚の布が保管されていることがわかり、組み合わせると1枚のシャツに復元されました。

弁護団は、燃やされたはずの布が保管されシャツが復元されたことは自白の内容と矛盾するため、有罪の大きな根拠とされた自白に信用性がなくなったとして、平成24年、裁判のやり直しを求めました。

その結果、熊本地方裁判所はおととし6月、「自白の重要な部分に客観的事実との矛盾があり、有罪の認定に合理的な疑いが生じた」として再審を認める決定を出し、去年11月には福岡高等裁判所も裁判のやり直しを認める決定を出していました。

最高裁判所で裁判のやり直しが認められるまで、33年という長い年月がかかりました。宮田さんは認知症で判断能力が低下しているとして、息子と成年後見人の弁護士が再審を申し立てていました。