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ラーラ・サルマ - Wikipedia

【世界王室物語−ノブレス・オブリージュ】モロッコ 砂漠の国の美しき王妃 関東学院大教授・君塚直隆 - 産経ニュース

 2人の結婚はまさに「異例ずくめ」であった。中産階級出身の妃は初めてのことであり、そもそもモロッコでは国王の結婚は第1子の誕生まで公(おおやけ)にされることもなかった。それがこのたびは、結婚前から花嫁の写真が公開され、4カ月後に宮殿で行われた祝賀の宴にもテレビカメラが初めて持ち込まれた。さらに国王は「一夫一婦制」を採用した。それまでの慣習を引き継げば、サルマは「第1夫人」の呼称で呼ばれたかもしれないが、結婚から13年の歳月を経た現在でも、彼女は唯一の夫人であり、「王妃」なのである。


 2人は1男1女に恵まれた。こののちも王妃は公に姿を現して、さまざまな活動に邁進(まいしん)する。まずはがん撲滅協会を立ち上げ、世界中の組織や研究機関と提携しながら、がん対策に力を注いでいる。「今日の子供たちは、明日の世界」を合言葉に、国際対がん連合(UICC)の特別代表を務め、世界保健機関(WHO)のがん防止親善大使に就任した。また、アフリカ大陸に蔓延(まんえん)するエイズ撲滅にも尽力する一方で、アラブ世界に多く見られる女性や子供への差別をなくし、彼らの権利を守る運動にも深く関わっている。


 さらに王妃にとって大切なもうひとつの仕事が、モロッコを訪れた国賓の接遇や自らが国賓となって世界中を回る「外交」である。わが国にも05年の「愛・地球博」の際に訪れ、モロッコ館のイベントに参加された。


 美しい王妃は、欧米でのさまざまな国際会議に出席する際に、シャネルやディオールのスーツも見事に着こなすが、やはり圧巻は民族衣装に身を包まれたときであろう。先に見た、オランダ国王の即位式はもとより、タイのラーマ9世国王の在位60周年記念式典(06年)や、英国のウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式(11年)の際にも、あでやかなモロッコの民族衣装で祝典に一層の彩りを添えていらした。


 ムハンマド国王自身の母がそうであったように、それまでモロッコでは男性中心社会で、いかに王族とはいえ女性たちが表に出てくることはなかった。ましてや、女性や子供の権利を声高に訴えるなどもってのほかであった。王妃より15歳年上ながらも、改革派の国王はモロッコ社会に「民主化」を取り入れようと近年努力し続けている。それがまた、王妃との結婚式の際に見られた「異例ずくめ」の、新たな慣習の創設にあったのだ。

マティルド・デュデケム・ダコ - Wikipedia