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「コミュニケーション能力」「リーダーシップ」「協調性」――。長らく日本企業が「理想の人材」としてきた、紋切り型の言葉たち。「声の大きい人」の意見が通りやすい会社では、こうした特性も必要なのかもしれない。


そんな人材論に「NO」を突きつけるのが、Googleで人材開発に従事し、現在は国内外の企業で人材育成のコンサルティングをおこなうピョートル・フェリークス・グジバチ氏だ。

――ピョートルさんから見て、日本の大手企業はどんな印象ですか。


日本では大手企業の経営者というと「黒塗りの車」で常に移動しているというイメージがありますよね。丸の内や大手町といったビジネス街では、エンジンをかけっぱなしにした車の中で、運転手が偉い人を待つ。そんな風景を見ることがあります。


古い保守的な会社は「性悪説」の考え方で動きます。部下が何をしでかすかわからないから「トップがすべてをコントロールする。命令に従え」という考え方です。


——では、Googleは?


Googleは真逆の「性善説」です。Googleは非常に自由な会社です。本社の敷地は「キャンパス」と呼ばれるのですが、誰でも入ることができます。


共同創業者のラリー・ペイジセルゲイ・ブリンは、ともにスタンフォード大学の出身。Googleにも同じように自由なキャンパスがほしかったようです。


ふたりとも「黒塗りの車」は持っていないし、ひとりで自転車を漕いで移動している。軍隊みたいなボディガードも、お連れの人もいない。


2人はGoogleを作った時、普通の会社とは真逆の会社にしようとしました。「自由を重視して、社員が好きなことに情熱をもってもらおう。それで成果が出ればいい」と。


これまでにも「マネージャーがいらない」という試みや、「20%プロジェクト」(勤務時間の20%は自分の企画したやりたいことに使っていい)を実践するなど、非常に自由を重視している会社です。


こうしたGoogleの気風は、創業者たちが幼い頃に「モンテッソーリ教育」という教育プログラムを受けてきたことも関係しています。


——「モンテッソーリ教育」は、将棋の藤井聡太四段が受けていたことでも話題になりました。どんな内容でしょうか。


モンテッソーリ教育」というのは、子供の自主性や知的好奇心を育てるプログラムです。


クラスの編成は、たとえば「3〜6歳」「6〜9歳」「9〜12歳」と、年齢の異なる子供同士でクラスを編成します。


そうすると、クラス内で年少の子が何か困っていると年上の子が教えてあげる。先輩に教えてもらった子は、年度が変わると、今度は自分が教える番になる。


「互いに教えていく」ことが仕組みの中に入っていて、クラスにはいろんな学習キットや、自分で作れる学習教材が置いてあります。例えば、絵を描きたいんだったら絵を描くとか、レゴを使って何かを作るとか。


先生の役割はファシリテーションコーチングです。子どもが好きなことをやってるときに「何をやってるのかな?」って聞いたり、子供が学ぶ上で戸惑っているとき「こうしてみるのはどう?」と、優しく丁寧に説明する。


子どものひらめきを作って、自分で学習できるように。成長志向を育てるんです。

————しかし、人は予期せぬ出来事に遭遇すると戸惑います。戸惑うことや、怒りや悲しみという感情にはネガティブなイメージがあります。


確かに。でも、そこからどうやってプラスの方向にもっていけるかが大事です。


Googleも創業初期の新卒採用は、創設者がスタンフォード(出身)なので「まずはスタンフォード、次にアイビーリーグアメリカの名門私立大学群)から」という感じでした。


でも、一定の大学出身者ばかりを採用しては多様性がありません。人種も偏り、ダイバーシティに欠けてしまう。


アイビーリーグでなくても頑張っている人もいる。そこで、大学のレベルに関係なく採用するようにしました。地方の小さい大学の出身者も採用しました。


当初、Googleの人事は「名門大学出身じゃないと人材のレベルが低いかもしれない」と心配をしていました。


でも、実際に採用したら、十分にパフォーマンスを発揮してくれた。何年も試行錯誤を続けて「結局、何がパフォーマンスに繋がるのか?」を社内で研究しました。


——実際に、どんなことがわかりましたか?


まずわかったことは、Googleでは、「どんな大学を出たか」は入社後のパフォーマンスと相関関係がなかったことがわかりました。


次にわかったのは、「これまでの人生で苦労をしたかどうか」でした。人生の中で、戸惑ったり、脱線したり、事故にあたり、病気になったり、浪人したり、好きな人を失ったり...。


そういった苦労した人たち、挫折した人たちは、会社のなかでパフォーマンスを発揮していました。


挫折というのは、自分自身を見つめ直すチャンスです。アイデンティティを作り直す機会でもある。次のチャンスを、自ら探しに行く必要があると考えられるかどうか。

——ひとりひとりの居場所、ということですか。


本の学校では、すごく優秀な子でも集団生活の掟に従わないと、いじめにあったり、心を患ったり、周りに潰される傾向がある。だから、彼らにとっての安全領域を作ってあげるというのが大事ですね


日系のベンチャーでも、すごく優秀な創立者が「俺が言っているとおりにやれ」いう社風をつくってしまう傾向は少なくないです。


Googleの場合は、日本の有名な大企業ではやっていけないような社員が多いかもしれません。


それでも、自分を信頼して、尊重してくれる人間がいれば、「出る杭」の人であっても建設的になります。自己開示もする。逆に信頼もしてくれる。


上司が部下を信頼し、尊重すれば、それはきちんと返ってくる。その中で社員が「そっか、自分でもできることがあるんだ」と「自分にも価値があるんだ」と再確認ができれば、非常に大きなパフォーマンスを発揮してくれます。


自分にはできないことを実行できる人たちを集めれば、お互いに尊敬しあえる。自分の部下に「私にはできないことだから、ぜひ手伝ってほしい」と言えたら、部下はプライドを持って仕事をしてくれると思います。

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