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 本名の久保田(旧姓)小百合と早紀との間の溝がどんどん大きくなる日々。これはもう自分の人生ではないという思いが日に日に募り、自らの音楽のルーツを探し、たどり着いたのが賛美歌だった。「子どものときに同級生の女の子に誘われて、教会の日曜礼拝に通っていました。『きよしこの夜』や『もろびとこぞりて』とか、子どものときは歌詞の意味は分かりませんでしたが、ピアノで弾いてすごく良い曲だなあと」


 81年にプロテスタントの教会で洗礼を受けた。ミュージシャンの久米大作さんとの結婚を機に、85年に引退。「私に華やかな芸能界は向いていなかった。六本木や麻布に通うより、地元の国立や八王子の喫茶店で、友達同士で地味にコーヒーを飲んでいる方が落ち着く人間なんです」


 現在は、宣教のためのコンサート依頼があれば、教派は問わずに全国の教会に出向く。そして、神父や牧師が聖書の言葉として伝えるメッセージを、音楽の力で伝える。「久保田早紀の頃も人前で歌ったり、しゃべったりするのがすごく苦手でした。今でも得意ではないんですけど、教会で歌うのはパフォーマンスではなく、神様へのささげものですから。聖書のメッセージを、天職として歌で伝えることが私の役目。苦手意識は許されません」


 リクエストされれば、教会でも「異邦人」を歌う。「私のことを知らない若い世代の方々からは『久米さん、歌がうまいですね。プロになれますよ』と言われることもあります。そんなときは、『昔、プロだったんだよ』と返しますけどね」


 歌うことを天職だとは感じる一方、音楽が、今の自分にとって最も大切なものではないと言い切る。どういうことなのだろうか。「音楽は家に例えれば壁紙みたいなもの。お部屋の雰囲気が明るくなったり、環境を作ってくれたりしますが、一番必要なものではありません。まず、柱や屋根がないと家にはなりませんよね」。では、久米さんにとって一番大切なものは? 「私にとって、それは信仰ですね」


久米小百合久保田早紀)・異邦人

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