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日本相撲協会の理事候補選挙は、2年に1回行われ、1日午前11時から正午まで東京・両国の国技館で立候補の届け出が行われました。


立候補者はゆかりの深い相撲部屋で作る6つの一門ごとに調整され、出羽海一門から4人、二所ノ関一門から2人、高砂一門から1人、時津風一門から1人、伊勢ヶ濱一門から1人、貴乃花一門から2人が立候補しました。


このうちこれまで理事を1人しか出してこなかった貴乃花一門からは、元横綱日馬富士による傷害事件への対応をめぐって先月理事を解任された貴乃花親方に加え、新たに阿武松親方が立候補しました。


立候補者は合わせて11人となり、定員の10を超えたことから公益財団法人になる前の理事選挙も含めて、5期連続で投票となることが決まりました。


またあわせて行われている副理事の候補選挙には3人の定員に対して4人が立候補しこちらも投票が行われます。投票は2日、101人いるすべての親方によって行われ、この選挙で当選した親方は理事候補として、来月の春場所後に理事選任の権限を持つ評議員会に推薦されます。

出羽海一門からは現職の4人が立候補しました。広報部長を務める元関脇・栃乃和歌春日野親方名古屋場所の担当部長を務める元幕内・小城乃花の出羽海親方、九州場所の担当部長を務める元小結・両国の境川親方、それに相撲教習所長を務める元幕内・厳雄の山響親方の4人です。


二所ノ関一門からは2人です。相撲協会ナンバー2の事業部長を務める元大関・琴風の尾車親方のほか、病気療養中の二所ノ関親方にかわって副理事を務めている元横綱大乃国芝田山親方が立候補しました。


高砂一門からは理事長を務める元横綱北勝海八角親方が立候補しました。


時津風一門からは危機管理部長を務める元関脇・多賀竜の鏡山親方が立候補しました。


伊勢ヶ濱一門日馬富士の傷害事件の責任を取って理事を辞任した伊勢ヶ濱親方が今回立候補を見送りかわって、元関脇・高望山の高島親方が立候補しました。


貴乃花一門からは初めて2人が立候補しました。元横綱日馬富士の傷害事件をめぐる対応について責任を問われ先月理事を解任された元横綱貴乃花親方が立候補を決めたほか、元関脇・益荒雄の阿武松親方が初めて立候補しました。

貴乃花一門はかつての貴乃花グループの時代から4期連続で貴乃花親方1人が立候補してきましたが、今回はじめて2人の候補を擁立しました。


今回の選挙に向けては元横綱日馬富士の傷害事件をめぐる一連の対応を問題視され、貴乃花親方が先月理事を解任されたことを受けて一門発足当初から貴乃花親方を支えてきた阿武松親方を候補にすべきだという意見が出されていました。


しかし、貴乃花親方は一連の対応について、「警察に協会への報告を依頼していたので報告義務には違反していない」などとして理事としての責任を果たしたと主張し、一門の会合でも立候補の意思を崩しませんでした。


貴乃花一門に所属する親方は8人で、支援する3人の無所属の親方を加えても理事候補を1人当選させる数しかなく、初場所中から繰り返し会合を開いて候補を一本化するかどうか話し合ってきましたが、関係者によりますと貴乃花親方の立候補の意思が固く、先月30日、貴乃花親方と阿武松親方の2人が立候補することで合意したということです。


貴乃花親方は理事を解任されておよそ1か月で再び理事候補選挙に立候補することになり、一門を超えてどこまで支持を集められるかが焦点となります。

日本相撲協会の最大で15人と定められている理事のうち、10人は力士出身の親方が務めることが慣例で、この10人については、2年に1回行われる理事候補選挙に立候補する必要があります。


ことしの理事候補選挙は1日、立候補の届け出が行われ、立候補者が定員の10を超えた場合は2日、すべての親方による投票が行われます。ここで理事の候補に選ばれたあと、春場所後の3月末に開かれる予定の評議員会で承認されれば、理事に就任することになります。


評議員会の終了後には速やかに新しい理事による理事会が開かれ、理事による互選で理事長が選ばれます。

大相撲の「一門」は親方どうしが師匠と弟子の関係にあるなどゆかりの深い相撲部屋で作るグループの名称です。現在は出羽海一門二所ノ関一門高砂一門時津風一門伊勢ヶ濱一門貴乃花一門の6つがあります。


一門の部屋は協力関係にあり、かつては本場所で同じ一門の力士による対戦は組まれなかったほか、一門ごとに巡業を行っていたこともありました。


現在はかつてほどの強いつながりはないとされていますが、場所前には一門の部屋が集まって行う連合稽古を行うことも多く、理事の候補者の調整も各一門ごとに行われています。

貴乃花親方からのメッセージ┃貴乃花部屋 TAKANOHANA BEYA

いま相撲界では、過去の反省を顧みない度重なる暴力事件や不祥事により、国民の皆様の期待を大きく裏切り、社会的な信用を損なった結果、組織としての公益性や透明性が大きく問われております。この最中で行われる理事の改選の意味合いは、いままでにない特別なものです。何のための理事改選なのか、理事になったその先には何が必要なのか、私なりに考えてみました。


日本相撲協会内閣府から認定を受けた公益財団法人であります。ここにおける公益性の意味とは、唯一無二の存在である大相撲という国技の維持、発展を通じて、社会に寄与することであると考えます。また、税制上でも多大な優遇を受けており、その意味では社会的に大きな責任も伴います。しかし、相撲協会の現状を見てみると、社会的な責任を果たすよりも協会内の事情や理屈が優先され、公益性から逸脱しているのではないかという大きな疑念を抱いております。大相撲は誰のものか? その公益性の意味を我々は考え直し、正す時期に来ているのではないかと思います。


公益法人としての社会的使命を全うしながら、透明性を持った健全な組織運営をしていくことが、私が思う理事の使命です。その使命を果たすために、相撲協会全体の器量を大きくし、大相撲一門として自由に意見を交わせる風土を作り上げることを私の目標といたしたいと思います。


私の現役当時と比較して、現在は力士の数が大きく減少しています。この先、相撲は残っても、相撲協会は残れるとは限りません。その危機感を、私は強く持っています。これからも相撲の普及とあらゆる場面で活躍できる力士の育成は不可欠であります。苦労なくして、英雄はできず。組織の繁栄は将来性を持った英雄たちを多く輩出することと密接に関係していると思います。

http://d.hatena.ne.jp/d1021/20180127#1517049482
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20180125#1516877098
http://d.hatena.ne.jp/d1021/20180120#1516444452