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 −−東京大工学部の卒業ですが、受験の経緯を教えてください。


 50年以上前の話ですが、当時は日本が戦争に負けた後の復興の時代です。これからは科学技術だと、いいモノをたくさん売って、この国を発展させていくんだという時代でした。だから、「エンジニアをやりなさい」と小学校の先生が私どもに伝えてくれたものです。私はエンジニアになって、この国に少しでも貢献できればいいなという気持ちで、東大工学部、いわゆる理1を受験しました。


 おやじ(鳩山威一郎元大蔵事務次官)は東大法学部を卒業しましたから、私が工学部に願書を出した後、「なんだ法学部じゃないのか、なんで工学部に行くんだ」と言われたことがあります。また、かつておやじに「数学なんて役に立っていることがあるのか」と聞かれたことがあります。冗談じゃないよと、数学がなければ新幹線一本通らないよという話から、数学の必要性を訴えたこともあります。


 −−どのような受験勉強をしたのですか。


 弟(鳩山邦夫衆院議員)は、勉強では私よりはるかにできました。そういう中で育ったものですから、若干の劣等感はあったと思うんですけど、それを克服しないといけないということで、黒板をお袋に買ってもらって、自分の部屋の常に見えるところに置いて、英単語とか数式とか覚えにくい漢字とかを全部書いたんですね。そうすると、別に一生懸命にそれを学ぼうとしなくても、毎日それと面と向かっていると、自然に覚えたり、理解できたりしました。


 紙に書くのもいいんですが、それを常に見ているわけじゃないんですよ、一回書いたら忘れてしまうわけです。しかし、常に目で追っていると、別に意識しなくても、自然に覚えてしまうものです。受験勉強は記憶力の勝負というところがあるでしょう。頭の良さというよりも記憶力が試される部分があるものですから、そういう勝負に関しては、黒板暗記法が役に立つと思いますね。

 −−工学部での専攻は何ですか。


 工学部と言っても、モノを作るのは苦手で、応用数学や応用物理などの理論で学問を成り立たせているようなところへ行きたいということで、計数工学科に進んだんです。当時はそれが人気のあるコースでした。バイオテクノロジーや、生命のさまざまな現象をいかに工学的に応用するかという学問とかに関心を持ちましたね。

 −−受験生にメッセージをお願いします。


 結果よりもチャレンジするということを、大切にしてもらいたい。その意味で、高校の進路指導で、「あなたは無理だ」とか言われて、志望校に行けないというのは大変つらい話で、「私はそんなことを言われても、自分の意思でこの大学に行きたい」という気持ちがあれば、チャレンジしてもらいたい。結果は結果で、その人の一番ふさわしいところに道が開かれていくと信じていますから、ふさわしい道を自ら閉じるのではなくて、どんどん切り開いていってもらいたいと期待しています。

#実学#問題的思考と体系的思考