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1日のニューヨーク株式市場は、トランプ大統領が中国の過剰生産によってアメリカへ安く輸入されている鉄鋼などの製品が安全保障の脅威になっているとして、鉄鋼とアルミニウムに高い関税を課す意向を明らかにしたことを受けて、中国などとの貿易摩擦が激しくなることへの懸念が広がりました。


このため幅広い銘柄に売り注文が集まり、ダウ平均株価は一時500ドル以上値下がりしました。


市場関係者は「トランプ大統領の発言を受けて鉄鋼とアルミニウムの関連銘柄は急騰したが、その他の業種は軒並み値下がりしている。ダウが2万5000ドルの大台を下回ったことも投資家の心理を悪化させ、売り注文につながっている」と話しています。


アメリカのトランプ政権は、戦闘機や軍艦の製造に使われる鉄鋼やアルミニウムが中国で過剰に生産されて国際的に価格が下落し、各国から不当に安く輸入されているとして、安全保障への脅威を理由に大統領権限で行う異例の輸入制限措置の発動を検討しています。


これについてトランプ大統領は1日、記者団に対し「鉄鋼には25%、アルミニウムには10%の関税を課す。この措置は長い期間にわたるだろう」と述べ、来週にも措置の発動を正式に決める意向を明らかにしました。


トランプ大統領は措置の対象になる国を明確にしませんでしたが、主に標的とする中国だけでなく、日本を含め鉄鋼やアルミニウムをアメリカへ輸出するすべての国が対象となる可能性もあり、貿易摩擦の激化や活発な貿易に支えられる世界経済への影響が懸念されています。


今回の措置は通商拡大法232条に基づくものですが、アメリカの歴代の政権は自由な貿易を損ないかねないとして発動には慎重な対応をとってきました。
実際に発動されたのは、法律ができて50年余りで1980年前後に政治的に鋭く対立したリビアとイランからの原油だけとなっています。

トランプ大統領が、アメリカの安全保障への脅威を理由に発動する意向の輸入制限措置は通商拡大法232条に基づきます。


この措置は大統領の権限で発動できる仕組みになっており、政府から独立した機関の認定が必要な反ダンピング関税などよりも、政権の思惑を反映しやすくなっています。


ただ、外部からは検証が難しい安全保障を理由に輸入を制限すれば、相手国も安全保障への脅威を理由に、対抗して高い関税を課す可能性があります。


相手国との間で報復措置の応酬になれば、貿易摩擦は激化しかねません。貿易不均衡の是正を訴えるトランプ政権は、これまでも最大の貿易赤字を抱える中国の木材製品や化学製品などについて独立機関の認定を受けて反ダンピング関税などを課してきましたが、こうした輸入制限措置の中でも、通商拡大法232条は、各国が最も懸念を強めていました。


アメリカの歴代政権は、自由貿易を損ないかねないとして232条に基づく輸入制限措置の発動には慎重な対応をとっていて、これまでに発動されたのは、法律ができて50年余りで、わずか2件、1980年前後に政治的に鋭く対立したリビアとイランからの原油だけとなっています。