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日本語の文書作成には、漢字変換、ルビや縦書き、フォントだのと、欧米のワードプロセッシングソフトウェアでは実装されていない特殊な機能が必要で、それが一種の参入障壁になっていて、国産のソフトウェアが元気だった。


現代では考えられないかもしれないけど、80年代までは Microsoft Word なんて使っているのは学者か外資系の一部の企業であって、お化け的なシェアを誇ったジャストシステムの「一太郎」、続いて書院や OASYS といったワープロ専用機を使うのが一般的だった。

そして Mac の国産ワープロソフトを開発していたのがエルゴソフトだ。エルゴソフトは MacOS が日本語対応される前から、日本の文書作成ソフトを開発していた会社で、文書作成ソフトの EGWord、日本語フロントエンドプロセッサの EGBridge、そしてパソコン通信ソフトでは EGTalk などを販売していた。

その後、Microsoft は Office のバンドル販売を強化、Windows95 が発売された1995年以降は企業導入ソフトウェアは Microsoft Office が標準(だってパソコン買えば付いてくるんだもの)となり、表計算ソフトの Lotus 1-2-3 なんて巨大シェアを持っていたソフトも葬り去り Microsoft Office が躍進、一太郎WindowsOASYS など、国産メーカーのソフトはシェアが急激に下がっていった(そういえば当時の官公庁文書は一太郎か Word で作るルールがあったと思う)。


Windows95 の発売後 Apple は業績も悪化、90年代末には「え、Macなんて使ってるの?大丈夫?」とか「Macユーザはそれしか使いたがらない偏屈者だから」という風潮が広がるほど、Macintosh シェアも低下。エルゴソフトも EGWORD Windows版を発売するなど、Mac製品を開発するディベロッパーには厳しい時代へと移っていった。

1993年にエルゴソフトは株式会社光栄が買収、MacOS X 対応の EGWORD 開発を経て2008年にソフト事業から撤退、2009年に解散した。2017年に元エルゴソフトのエンジニアで構成される物書堂が正式にソースコードを取得し、最後のバージョンとなっていた egword Universal 2 を macOS High Sierra に対応させる改修作業を開始、本日より発売を開始したのだ(ちなみに動作環境は OS X El Capitan以降)。

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