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中国では、ロバの皮から抽出されるゼラチンが、古くから薬の原料となってきました。「阿膠(あきょう)」と呼ばれ、貧血や生理痛などに効果があるとされてきました。


これが近年、経済発展によって豊かになった中国の女性の間で、美容・健康製品としても注目されるようになり、売り上げも急増しました。需要が高まった「阿膠」の生産に年間400万頭ものロバが必要とされるようになり、中国国内のロバは、1100万頭から600万頭以下にほぼ半減してしまいました。


そうしたなか、新たな調達先として中国の業者が目をつけたのがアフリカでした。アフリカ各国からロバの皮を大量に輸入するようになり、ロバの価格はアフリカ各国で高騰します。それまでアフリカの人々にとって当たり前のように身近にいたロバが、中国市場の爆発的な需要拡大で突如、金もうけにつながる“商品”に変貌したのです。

アフリカではアフリカゾウやサイなど貴重な野生動物の密猟があとをたたず、象牙や角などが中国などに広がる闇市場に密輸されてきました。


ロバをめぐっても、価格が高騰するなか、中国に輸出するため、アフリカ各地で違法取引が急増することが懸念されています。アフリカと中国をつなぐ、国境を越えた犯罪組織の関与も疑われるようになっています。

ニジェールなどアフリカの国々の中には「このままではロバがいなくなってしまう」と、中国に対抗し、ロバの輸出を禁止する国も相次いでいます。こうした中、中国の業者は世界のほかの地域にも目をつけ、アジアや中南米からもロバが大量に中国に輸出され、国際問題にもなろうとしています。中国は、象牙をめぐって去年、違法取引を撲滅しようと国内市場を閉鎖し、アフリカの貴重な動物を守るためにリーダーシップを発揮する姿勢を示しています。ロバの問題をめぐっても、中国が、ロバの持続的な利用ができるよう、関係国とも協力して対策にあたっていくことが求められています。