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三菱商事の純利益は5601億円で、10年ぶりに最高益を更新。総合商社で初めて5000億円の大台を突破した。石炭(原料炭)や銅などの価格が上昇したことで、原料炭や銅を含む金属部門の純利益は76%増の2610億円となり、全体の半分弱を占めた。


 金属部門は16年3月期に、銅価格の下落を受けて銅鉱山の資産価値を見直すなどで巨額の減損損失を計上し、三菱商事が創業以来初めて最終赤字に陥る原因となった。


 17年3月期からの中期経営計画で、市況に影響されない安定的な収益を目指し、非資源分野の強化を図っている。18年3月期はノルウェーのサケ・マス養殖や東南アジアの自動車事業が利益面で貢献した。19年3月期の純利益は、大台替わりの6000億円を計画している。

「資源商社」と呼ばれる三井物産は、豪州の鉄鉱石や石炭事業が好調で、純利益は4184億円だった。伊藤忠商事を抜き2位に復帰したが、12年3月期の最高益(4344億円)には届かなかった。ブラジルの穀物集荷事業からの撤退が響いた。


 純利益に占める金属資源・エネルギーの比率が7割と高い。19年3月期は資源分野で減益を見込んでいることもあって、純利益に占める非資源分野の比率を28%から45%に引き上げる計画だ。運輸やヘルスケアなどを成長分野と位置づけ、戦略的に投資している。18年3月期は欧州の電気自動車(EV)関連や東南アジアの病院事業に出資した。


 19年3月期の純利益は4200億円と横這いの見込み。資源分野が減益になるためだが、「上振れ」を予想するアナリストもいる。

 非資源に強い伊藤忠商事の純利益は4003億円。2年連続で過去最高を更新したものの、三井物産の利益の伸びに及ばなかった。18年3月期の純利益を押し上げたのは、皮肉なことに金属部門だった。鉄鉱石や石炭価格の上昇により、金属部門の純利益は825億円と部門別でもっとも稼いだ。


 非資源部門を一段と強化するため、持分法適用会社だったユニー・ファミリーマートホールディングスを子会社にする。今年8月ごろに株式公開買い付け(TOB)を実施し、出資比率を41.5%から50.1%に引き上げる。買い付け総額は1203億円となる見込み。ユニファミマを連結決算に取り込むことから、19年3月期の純利益は4500億円を計画。三井物産と激しい2位争いをすることになる。

 総合商社は1990年代の「冬の時代」を乗り越え、事業投資に力点を置くようになった。石油や天然ガスなどエネルギー資源、鉄鉱石や銅などの金属資源の開発事業で収益を得たり、資源そのものを売買して収益を稼ぐ。


 2000年代以降、中国の急速な経済成長で資源需要が高まり、総合商社は資源への投資で大きな利益をあげた。08年のリーマン・ショックで日本の産業界が瀕死の重症を負うなかで、総合商社は「我が世の春」を謳歌した。


 しかし、中国の景気減速で資源価格が下落。16年3月期には、資源分野の比率が高かった三菱商事は1493億円の純損失、三井物産も834億円の純損失を計上。両社とも創業以来初めての最終赤字に転落した。これに対して繊維や食品など非資源分野に強い伊藤忠商事は2403億円の純利益をあげ、初の業界首位となった。


 それから2年。資源価格が回復し、従来の順位に戻った。とはいっても、資源は中国の景気に左右されるため、各社とも非資源分野の強化を進めている。


 5月14日終値時点の時価総額は、1位は三菱商事の5兆246億円、2位が三井物産の3兆4315億円、3位が伊藤忠商事の3兆3773億円、4位が住友商事の2兆4042億円、5位が丸紅の1兆5090億円。


 三菱商事が他社を大きく引き離し独走状態だ。三井物産伊藤忠商事がデッドヒートを繰り広げ、2位になったり3位になったりしている。