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NAFTAの再交渉をめぐってアメリカのトランプ政権は先月27日、まずメキシコとの協議で自動車の関税をゼロにする新たな基準などで合意したことを受け、残るカナダと協議を行いました。


トランプ政権は、8月中にカナダとも合意して、新しいNAFTAの協定に署名する前に必要なアメリカ議会への通知手続を終えたい意向でしたが、カナダとは農業分野などでの協議が難航し、折り合いませんでした。


このためアメリカ通商代表部は31日、トランプ大統領がメキシコとの2国間の協定に署名する方針を議会に通知したと発表しました。


アメリカ通商代表部はカナダが望めば議会に通知する手続きをとるとしていて、来週5日、カナダのフリーランド外相と会い協議を続けるとしています。


ただトランプ大統領はNAFTAをやめてメキシコとの2国間の協定に切り替えてかまわないとも主張していて、1994年に3か国で発効したNAFTAの先行きは不透明になっています。


またアメリカとメキシコとの合意には、自動車の関税をゼロにする条件として、現地で調達する部品の比率を引き上げることや、アメリカへの輸入車の数を事実上制限する措置が盛り込まれています。


これらの措置は、メキシコに進出しアメリカへと輸出している日本の自動車メーカーにとって影響が大きく、今後、実際に合意が発効するかが焦点です。

トランプ大統領は31日演説し、NAFTAの再交渉をめぐって「私はカナダが大好きだ。ただカナダはわれわれを長年利用してきた」と述べ、カナダへの不満を示しました。


カナダとの間の協議の内容や結果については明らかにしませんでした。

カナダのトルドー首相は31日、NAFTAの協議について記者団に対し「カナダにとって利益がある場合のみ署名する。悪い合意をするくらいなら合意しないほうがよい」と述べました。


カナダの報道によりますと、協議の焦点はカナダの乳製品の市場開放で、カナダは乳製品などへの農業保護策を維持したいとしてアメリカと対立しています。


またアメリカはアンチダンピング関税などの発動が妥当かどうかを審査する紛争解決制度の撤廃を求めていて、これに対してもカナダは強く反発しているということです。


カナダは来年、総選挙を控えており、トルドー首相としても簡単には譲歩できない事情があります。

カナダのフリーランド外相は、アメリカのライトハイザー通商代表との協議を終えたあと記者会見し、「アメリカ側とは非常に厳しい交渉を続けてきたが、まだ合意を発表できる段階にはない。交渉はまだ続くが、両国がお互いに少しずつ譲り合えばカナダとアメリカ両国にとってよい合意に持ち込めると確信している。ただカナダとカナダ国民にとって利益のある合意内容になるまでは協議は終わらない」と述べました。