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この問題は、賃金や労働時間の動向を把握するため厚生労働省が行っている「毎月勤労統計調査」で、従業員が500人以上の大規模な事業所はすべて調査することになっていたにもかかわらず、都内ではおよそ3分の1の事業所しか調べていなかったものです。

官房長官は記者会見で「統計の信頼性を損なう事態が生じたことは甚だ遺憾だ。国民の皆さんに不利益が生じることのないよう必要な対応に万全を期すとともに、原因の究明・再発防止にとり組んでいきたい」と述べました。

そのうえで、GDP=国内総生産や鉱工業指数など特に重要な統計と位置づける56の「基幹統計」が適切に行われているか点検を行う考えを示しました。

また「雇用保険等の給付について過去にさかのぼって追加給付する必要があると報告を受けている。平成31年度予算案で必要な予算を計上する方向で調整を進める」と述べ、先に閣議決定した新年度予算案を修正する考えを示しました。

根本厚生労働大臣は記者会見で今回の問題について「政策判断や学術研究、それに経営判断の礎として、正確性が求められる統計でこうした事態を引き起こしたことは極めて遺憾で、国民にご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げる」と謝罪しました。

そのうえで「原因を明らかにするとともに、厚生労働省として統計に関する姿勢を正し、必要な追加給付を行うなど、しっかりと取り組んでいく決意だ」と述べました。

そして、原因の究明に向けて弁護士なども交えた監査チームで調査を続けるとし、「調査の結果を踏まえて、処分を含めて、しかるべく対応したい」と述べました。

一方で、記者団が「長期間にわたり問題を明らかにしなかったのは組織的な隠蔽ではないか」と質問したのに対し、根本大臣は「報告を受けているかぎり、現段階で組織的隠蔽があったという事実はないと思っている」と述べました。

また、みずからの責任について「大臣である私は、必要な調査をしっかりと詰め、二度とこうした事態を起こすことのないよう、再発防止策を取りまとめ、雇用保険の追加給付などに全力を挙げたい」と述べ、原因究明や追加給付などに全力を挙げることで責任を果たしたいという考えを示しました。

この中で麻生副総理兼財務大臣は「経済財政運営に関する政策判断の前提となるという部分が非常に大きく、常に正確性を求められているものでもあり、甚だ遺憾だ」と述べました。

この問題をめぐっては、雇用保険労災保険などが本来より少なく支給されていたケースがあり、厚生労働省はさかのぼって差額を支給する方針です。

これについて麻生副総理は「新年度予算案において追加給付に必要な予算を計上する方向で調整を進めていく考えだ。追加の歳出額はいま調査中だが、閣議決定をもう一回やり直すという可能性は極めて高い」と述べ、先月21日に閣議決定した新年度予算案を修正する考えを示しました。

厚生労働省は従業員が500人以上の大規模な事業所については本来、すべての事業所を調査するルールになっていたのに調査を委託していた東京都に対し、一部の事業所を抽出して名簿を送っていました。

当時、なぜこのようなことをしたのか、厚生労働省は「今後、職員からの聞き取りを進める」とするにとどまっていますが、調査の方法を記した当時の書類には「すべて調査しなくても精度を確保できる」と書いてあったということです。

また、一部を抜き出して行う調査では、本来の手法で行った場合に近づけるための統計上の処理が行われるべきところ、平成16年以降、おととしまで、こうした処理は1回も行われていませんでした。

その影響で給与が高い傾向にある都内の大規模な事業所が多く除外され、10数年にわたり、調査結果が適正に調査した場合に比べて低く出ていたということです。

こうした問題が公になったのは先月10日、総務省から厚生労働省に対して、大規模な事業所の調査の数値が不自然だと指摘されたことがきっかけでした。

指摘を受けて、統計を担当する厚生労働省の政策統括官が初めて問題を把握し、検証したところ、不適切な調査が長年行われてきたことが明らかになったということです。

しかし、総務省から指摘があった以前から一部の職員は不適切であることを認識していたにもかかわらず、組織全体で共有していなかったということです。

一方、長期間にわたり、問題を明らかにしなかったのは、組織的な隠蔽ではないかという指摘に対し、厚生労働省は「現段階で、組織的隠蔽があったという事実はない」としています。

厚生労働省は不適切な手法で調査が行われるようになった経緯や、一部の職員が不適切と分かっていながら放置されていたいきさつについて、さらに検証を進めるとともに、担当者の処分も検討することにしています。

雇用問題に詳しい法政大学の上西充子教授は「厚生労働省は、きょうの発表で『組織全体で共有してはいませんでした』としており、組織的なものではありません、という印象を受けた。しかし、長期間にわたって決められたルールで調査が行われていないことを考えるとやはり組織的なものであり、どのような意思決定でなぜ行っていたのか、厚生労働省は明らかにして、責任を取るべき人がきちんと取るべきだ」と指摘しました。

そのうえで「厚生労働省の内部調査では職員は非を認めづらく、トカゲのしっぽ切りになるおそれがある。第三者の専門家を交えて検証することが必要だ。合わせて今回の件は、裁量労働制障害者雇用の時と同じで『ばれなければいい』という甘い姿勢が見えるので、反省するとともに、不正や隠蔽ができないよう、信用できるデータを公表するための手順の見直しなども必要だ」と話していました。

「毎月勤労統計調査」は給与や労働時間の動向を把握するため、厚生労働省が毎月、行っている調査です。国の行政機関が作成する統計のうち、総務大臣が指定する特に重要な統計として「基幹統計」と位置づけられています。「経済財政白書」などの労働経済情勢を示す指標や景気の現状を示す「景気動向指数」の算出、それに、OECD経済協力開発機構といった国際機関への報告などさまざま用途に活用されます。

一方、国民の生活にかかわる雇用保険労災保険などの算定にも利用されます。このうち、雇用保険については、職を失った人が就職活動を行う間、以前の賃金の5割から8割を支給する失業給付の算定の際に、調査結果の1つの平均給与額の変化率を利用しています。

また、仕事でけがや病気になって労災と認定された場合に支払われる労災保険についても平均給与額の伸び率を利用しています。

「毎月勤労統計調査」のデータをことしの春闘での労使交渉などで活用しようとしている労働組合の担当者は「私たちの要求やその考え方を裏付ける重要な調査で、今回の件はあってはならないことだ」と話しています。

東京 文京区にある全労連では、春闘に合わせて、労使交渉や職場での組合員の議論などに活用してほしいとシンクタンクの協力を得てデータブックを作成しています。

この中で、経営側に賃上げを求める根拠の1つとして、「毎月勤労統計調査」の結果を用いて賃金が長期間で見ると下がっていることや、大企業と中小企業の間には大きな賃金格差があることを説明しています。

全労連の野村幸裕事務局長は「私たち労働組合の要求やその考え方を裏付けるための重要な調査であり、今回の件はあってはならないことで憤りを感じる。原因を究明するとともに、労働者の実態をきちんと反映した調査を行ってほしい。そして、働く人に対して本来もらえるべきだった保険を一刻も早く回復するべきだ」と話しています。

今回の問題について、労災保険の給付を受けている人からは戸惑いの声が聞かれました。

東京 足立区の橋本進さん(77)は、50年以上にわたって、耐火レンガを積み立て溶鉱炉やごみ焼却炉などの炉を造る「築炉工」として働いてきました。仕事で粉じんを吸い込み「じん肺」となり、平成22年から労災保険の給付を受けています。

「毎月勤労統計調査」のデータなどを基に算出された、橋本さんの労災保険の給付額は月20万円余り。橋本さんは「自分ではデータが誤っているかどうか分からないし、労働基準監督署で決められたのでどうすることもできない。誤っているのならば正しく直してほしい」と話していました。

また、現在がんを患っていて、保険が適用できない治療を自費で受けているということで「今は負担が大きいので、もし労災保険の給付額が増えるのならば、とても助かる」と話していました。

今回の問題について、都内のハローワークを訪れた人からは厳しい声が相次ぎました。

このうち仕事を探しに訪れたという65歳の男性は「10年ほど前に転職した際、雇用保険の失業給付を受けた。国の施策に関わる重要な調査データなので、それに誤りがあったとすれば、政府と私たちの間の信頼関係を揺るがすことになりかねないので、あってはならないことだ」と話していました。

会社の仕事でハローワークを訪れたという54歳の男性は「私も7、8年ほど前に失業給付を受けた。窓口ではきちんと説明をしてもらったので、納得して受け取っていた。今、失業給付を受けている人は死活問題でしょうから、それはちゃんとやってほしい」と話していました。

ハローワークに求人を申し込みに来たという66歳の男性は「またか、と思った。行政を信頼できないということになるので、きちんと仕事をしていただきたい」と話していました。

厚生労働省を巡っては、調査結果の誤りや、不備が発覚するケースが最近、相次いで起きています。

去年1月「労働時間等総合実態調査」と呼ばれる労働基準監督署が行う労働時間に関する調査で多くの誤りがあったことが発覚しました。
働き方改革を巡り、この調査結果をもとに行った安倍総理大臣の答弁が撤回されるなど国会の審議にまで影響し、政府は当時、働き方改革関連法案に盛り込む方針だった裁量労働制の適用業務の拡大を全面的に削除しました。

厚生労働省裁量労働制の調査結果を撤回するとともに、誤りの原因について「担当者に調査手法や記入方法を徹底できず、チェックが甘かった」と説明し謝罪しました。

さらに、去年には、厚生労働省が所管する障害者雇用を巡り、中央省庁で雇用する人がおととしの時点で合わせて3700人水増しされていたことも発覚しました。

10月にまとまった検証委員会の報告書では多くの中央省庁でずさんな運用が指摘された一方、厚生労働省についても中央省庁の実態把握がおろそかで障害者の範囲や確認方法などに関する周知などもあいまいだったと指摘されました。

相次ぐ調査結果の誤りや不備に厚生労働省の職員からも「なぜ、このようなお粗末な問題が相次ぐのか」とか、「国民の信頼を何とか回復しなければならない」などと危機感を感じる声が上がっています。

https://d1021.hatenadiary.jp/entry/2019/01/10/200210(不適切な手法で調査 新年度予算案にも影響か)

普天間基地の移設をめぐって安倍総理大臣はNHKの番組「日曜討論」で、移設先の名護市辺野古の海に生息しているサンゴについて「土砂を投入していくにあたって、あそこのサンゴは移している」と述べました。

これについて、沖縄県の玉城知事がツイッターに「現実はそうなっておりません。だから私たちは問題を提起しているのです」と投稿して批判したほか、地元紙が「発言は事実と異なる」とする専門家の指摘を紹介するなど反発も出ています。

これに関連して、菅官房長官は10日の記者会見で、現在、埋め立てを進めている南側区域の周辺で、必要なサンゴの移植は終えているとしたうえで「防衛省で環境監視委員会の指導、助言を受けながら、環境保全にも、最大、配慮しながら工事を進めており、安倍総理大臣もそういう趣旨で申し上げたということだろう」と述べました。

サンゴの移植をめぐって、防衛省は去年8月までに絶滅のおそれのある希少な「オキナワハマサンゴ」9群体を沖縄県の許可を得て移植しました。

しかし、残りのおよそ7万4000群体の移植は県の許可が得られていないことなどから進んでいません。

このため防衛省はサンゴが生息する区画に土砂を投入する前に移植するため、今後、県との調整を急ぐことにしています。