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日立製作所は、再生可能エネルギーが注目を集める中、平成24年には当時の富士重工業から事業を買収するなどして風力発電事業の拡大を進めてきた国内では大手のメーカーです。

しかし、この分野では海外のメーカーなどとの競争が激しく、今後も収益の拡大は期待できないとして、発電機の生産を中止することを決めたということです。

風力発電機を生産している茨城県日立市の工場について、日立は「生産終了後の工場の体制は決まっていない」としています。

日立では今後、提携関係にあるドイツの風力発電機メーカーとともにIoT技術を使った設備の故障予測や遠隔操作によるメンテナンスなどのサービスを中心に事業を行っていく方針です。

政府は、原発輸出を成長戦略の柱の1つとし、日本企業のビジネス拡大につなげる方針を打ち出しました。エネルギー政策の中で、原発を「重要なベースロード電源」と位置づける中で、東京電力福島第一原発の事故の後、国内では新たな原発建設が難しいため、海外での受注を通して原発関連産業の技術力を維持することがねらいでした。

日立の発表を受けて世耕経済産業大臣は「世界全体を見れば原発を使いたい国が多数で、今後、いろいろな展開の可能性がある。福島の事故を経験した日本の原発の安全に関する技術が世界に貢献していくことができる」と述べ、引き続き原発輸出政策を進めていく考えを示しました。

確かに海外では温室効果ガスの排出削減につながるなどとして、イギリス以外にもリトアニアやトルコ、それにベトナムでも原発建設が計画され、日本企業が参入に向けた準備を進めました。

しかし、イギリスのほか、リトアニアベトナムの計画でも、日本企業の参入は凍結や中止になりました。またトルコでの建設計画では、コストが2倍に膨れあがり、ここでも日本企業の参入が難しい情勢となっています。また、アメリカで原子力事業会社を買収した東芝は巨額損失を抱えて撤退。日本企業が海外で手がける案件は事実上「ゼロ」となっています。

こうした状況の中、経済産業省の幹部は「当面は国内の建設中の案件でしのぐしかない」と話しています。

原子力事業をめぐる環境は様変わりしています。福島の事故などの影響で、求められる安全対策の水準が上がり、かつて原発1基当たり数千億円とされていた建設コストは1兆円規模に拡大しています。もはや、民間企業ではリスクを負いきれないという指摘も出ています。

その一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及は世界的に急拡大し、コストも大幅に下がっています。イギリスでは、洋上風力発電のコストが原発と同程度になるなど、原発の経済的な優位性が失われていることも、今回、日立が計画を凍結した背景にあります。

こうした中、存在感を高めているのが中国とロシアの国営企業です。中国では、伸び続ける電力需要を賄うため、原発建設が相次いでいます。この間、技術も国産化し、海外進出にも乗り出しています。

また、ロシアは、国営企業「ロスアトム」が海外で新たに36基の建設計画を進めていて、その数は世界最大です。建設だけではなく、使用済み核燃料の処理などをパッケージで請け負うのが特徴で、原子力の国際情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所の村上朋子さんは「中国はこれからだが、ロシアは世界中で新規の案件を獲得して進行させていて、間違いなく成功している」と話します。

日本の原子力関連企業にとって厳しい環境が続く中で、原発事業の再編も検討されています。日立と東芝に加え、東京電力中部電力が提携協議を進めていることが明らかになっています。関連事業の将来的な統合構想も浮上しているということで、日立の東原社長は、議論を進める意欲を示しています。

日本の原子力関連産業では、震災後に、人材が20%以上減っていているとされ、各社ともに課題となっている技術の維持や、効率化を進めたいという意向が背景にあるようです。

ただ、仮に事業を再編したとしても、国内だけでなく、期待をかけてきた海外での原発建設が厳しくなっている状況で、民間企業の原子力事業を維持していくのは難しくなっていると言わざるをえません。エネルギー政策を担う国として、このまま原発を推進していくのか、また、利用を続けるとしても、どの程度の規模にするのか、また、原子力産業への国の関与の在り方など、根本的な将来像を考える時期に来ていると言えます。

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