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特別養子縁組」の制度は、児童虐待や貧困などを理由に、実の親と暮らせない子どもの救済につなげるため、昭和63年に始まりました。

子どもを引き取りたい夫婦が、家庭裁判所に審判を申し立て、原則、実の親の同意を得て成立する仕組みで、法律上、実の親との親子関係がなくなり、育ての親と親子関係を結びます。

法務大臣の諮問機関、法制審議会は去年6月に諮問を受け、29日に民法改正の要綱案をまとめました。

まず、現在「原則6歳未満」となっている養子になる子どもの年齢を、「原則15歳未満」に引き上げるとしています。児童虐待の問題が深刻化する中で、小中学生も救済できるようにするねらいがあります。

また、15歳から17歳までの子どもは本人の同意などを条件に、例外的に養子として認めるとしています。

一方、今は実の親が引き渡しに同意しても、裁判所の審判が正式に確定するまでは、いつでも撤回できるため、育ての親が安心して育てられないという指摘があります。

このため、要綱案では同意してから一定の期間がたてば、撤回できないようにするとしていて、具体的には2週間が想定されています。

このほか、育ての親の負担を減らすため、児童相談所の所長による裁判所への申し立てを可能にするなど、児童相談所の関わりも強化しています。

法制審議会は来月の総会で正式に要綱をまとめる方針で、法務省は今の国会への提出を目指しています。

特別養子縁組の制度は、児童虐待の問題を踏まえ、平成28年児童福祉法の改正によって、普及に取り組むことが法律で決められました。

しかし、実際は普及が進んでいるとは言えない状態で、実の親の同意の問題と子どもの年齢の問題がかねてから指摘されていました。

今回の見直しはこれにこたえるものになっています。厚生労働省平成26年度と27年度に児童相談所などに聞き取った調査では、特別養子縁組を検討すべきなのに断念した件数は、合わせて300件近くありました。

このうち、制度を利用できない理由を複数回答で尋ねたところ、実の親の同意の要件がおよそ70%ともっとも多く、次いで子どもの年齢の要件が15%となっていました。

法務省によりますと、おととし1年間に成立した「特別養子縁組」は616件となるなど、例年500件前後で推移しているということです。

養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の2つの制度があります。今回の「特別養子縁組」は、虐待や経済的な理由などで実の親と暮らせない子どもに、新たな家庭で安心して生活してもらうため、昭和63年に始まりました。

法律上、実の親との親子関係はなくなり、血縁関係のない、育ての親と親子関係を結ぶことになります。戸籍も、「長男」「長女」など、血縁関係のある親子と同じように記載されます。

一方、「普通養子縁組」は家の跡継ぎを残す場合や、子どもを連れた親が再婚する場合などにも利用されています。

子どもが「養親」より年下であれば何歳でも可能で、実の親との親子関係も解消されることもありません。このため、養子になった人は2組の親を持つことになります。

特別養子縁組の支援活動を行っているNPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事は、今回の要綱案について、「間口が広がり、現場にあった運用ができるようになるものだ」と評価しています。

一方で、駒崎さんは「対象年齢の引き上げで、高年齢の子どもが制度を利用する場合、難しいのは多感で繊細な子どもたちをどうケアするかということで、専門性が高い相談員がしっかりと支援していく必要があり、手間や労力がかかることが予想される」と指摘しています。

そのうえで、「虐待件数がうなぎ登りになっている状況では、予算をつけて補助をして専門家を育てるなど、国が政策として位置づけ支援を行って、特別養子縁組の制度を広げていかなければ、虐待死は減ることはない」と国の取り組みの強化の必要性を訴えています。