トランプ大統領 一般教書演説へ 野党と対立で異例の1週間遅れ #nhk_news https://t.co/pFaVcYBo0G
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年2月5日
アメリカの大統領が今後1年の施政方針を国民に訴える一般教書演説は、ことしは野党・民主党との対立が原因で当初の予定より1週間遅れで行われる極めて異例の事態となりました。
メキシコとの国境沿いの壁の建設などをめぐって民主党との対立が続く中、ホワイトハウスはトランプ大統領が演説で、「政治的なこう着状態を打破し、分断を埋める」と訴え、与野党間の融和や対立の解消を呼びかけるとしています。
ただ、トランプ大統領は壁の建設が必要だという立場は崩しておらず、演説でも壁の必要性を改めて訴えるものとみられます。
トランプ大統領は今月15日までに壁の建設費をめぐって民主党と合意できなければ再び政府機関を閉鎖するか、議会に諮らずに大統領権限で行政措置をとる「非常事態宣言」を出す可能性も示唆していて、演説の内容に関心が集まっています。
また、トランプ大統領は、今月下旬に予定されている北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との2回目の首脳会談について、日程や開催地を演説で明らかにする可能性を示しているほか、米中の貿易摩擦の問題についても言及する見通しで、外交面での発言も注目されます。
演説は全米にテレビなどで中継され、現地時間の5日午後9時すぎ(日本時間の6日午前11時すぎ)から行われる予定です。
アメリカの憲法では、「大統領は、折に触れて議会に国家の現状を説明しなければならない」と定められており、大統領は連邦議会に国の現状を報告し、施政方針を示す憲法上の義務があります。
一般教書演説は、全米にテレビなどで中継される重要な政治イベントで、歴代の大統領はスピーチライターとともに直前まで推こうを重ねて本番に臨んできました。
一方で、議会への説明の方法については規定されていません。第2次世界大戦以前は、多くの場合、一般教書は、書面で議会に提出されるケースが多く、演説の形式を取る大統領はむしろ少数派でした。
しかし1933年から唯一、大統領を3期にわたって務めたフランクリン・ルーズベルト大統領が議会で演説を行ってからは、すべての大統領が同じ形式を踏襲しています。
一般教書演説は、議会下院の議場で行うことが定例化し、演説に先立って、上下両院で全会一致の決議を経て大統領を議会に招待するという手続きが慣例となっています。
演説の際は、出席する議員らが与野党を問わず、大統領に拍手を送るなど、超党派で大統領を迎える政治イベントともいえます。
しかし、ことしは、民主党が多数派を握る議会下院のペロシ議長が、過去最長の政府機関の一部閉鎖が続いていることを理由に、トランプ大統領を議会に迎えるための議決をせず、演説の実施が1週間延期されました。
過去に当初の予定を延期して一般教書演説が行われたのは、1986年にレーガン大統領が演説を予定していた当日にスペースシャトル「チャレンジャー」の爆発事故が起きたときだけで、政治的対立が理由で延期されるのは極めて異例の事態と言えます。
トランプ大統領は、ことしの一般教書演説の特別ゲストとして不法移民に殺害された夫婦の遺族を招待していて、焦点となっている国境沿いの壁の建設の必要性をアピールするねらいがあるものとみられます。
一般教書演説が行われる議会下院の本会議場には、例年、大統領によって特別ゲストが招かれ、傍聴席でファーストレディーとともに大統領の演説を聴くのが慣例となっています。
ホワイトハウスによりますと、今回の特別ゲストの中には、先月、西部ネバダ州でエルサルバドルからの不法移民によって殺害された80代の夫婦の娘と孫、それにひ孫の3人がいるということです。
このほか、去年10月、東部ペンシルベニア州のユダヤ教の礼拝所で、男が銃を乱射し11人が死亡した事件で、生き残ったユダヤ教徒の男性や現場に駆けつけた警察官が招かれています。
また、小学6年生で、名字が大統領と同じ「トランプ」という理由で、学校でいじめを受けているという男の子も特別ゲストとして招待されています。
保守系のシンクタンク、ヘリテージ財団のジェームズ・カラファノ副所長はNHKの取材に対し、「今回の一般教書演説は、トランプ大統領が、自分が再選されるべき理由を本格的に訴える最初の演説となるのではないか。このため演説では、税制改革や規制緩和によって経済成長を導き雇用を創出したことや、イランや北朝鮮などをめぐる外交交渉など、トランプ政権が成功したと訴える分野に重点が置かれるはずだ」と分析しています。
そのうえでカラファノ氏は「通常、一般教書演説は、融和を呼びかける言葉と、相手との違いを際立たせる部分とが混在した演説になる。与野党の対決色が急速に強まる一方、超党派で合意できる政策を強調し、野党側に協力を呼びかける語り口も少しは見られるのではないか」と指摘しています。
トランプ大統領が一般教書演説 米朝首脳会談の日程を発表 #nhk_news https://t.co/XfJ0Rf2jjP
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年2月6日
トランプ大統領は現地時間の5日夜(日本時間6日午前11時すぎ)から、アメリカ議会の上下両院の議員などを前に今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行いました。
このなかでトランプ大統領は「この2年で世界はわれわれの経済を羨み、軍事力は最強になり、アメリカは日々勝利をおさめている」と成果を強調しました。
そして「国民の命と雇用を守る移民制度をつくる道義的な義務がある」と述べたうえで、「私が壁を作ってみせる」として、国境沿いの壁の建設の必要性を改めて訴えました。
またトランプ大統領は外交政策で、中国との貿易問題のほか、北朝鮮の非核化をめぐる協議を取り上げ「私が大統領に選ばれていなかったら、北朝鮮と戦争になっていた」と述べました。
そして「やるべきことは多く残されているが、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長との関係は良好だ」として、2回目の米朝首脳会談を今月27日と28日の2日間、ベトナムで開催すると明らかにしました。
トランプ大統領とキム委員長の1回目の会談は去年6月にシンガポールで開かれ、両首脳は朝鮮半島の完全な非核化への決意を確認したとしましたが、その後の米朝間の協議は停滞しています。
北朝鮮の非核化を巡っては、核関連施設の申告や査察など具体的な措置を求めるアメリカと経済的な見返りを求める北朝鮮の間の隔たりは大きく、十分な歩み寄りがないまま会談を開催することへの懸念の声も出ています。
このため2回目の会談でどこまで具体的な合意に至ることができるかは不透明で、両者の水面下の協議の行方に注目が集まっています。
トランプ大統領 一般教書演説 民主に協力要請も壁建設は譲らず #nhk_news https://t.co/p9nAhBP18h
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年2月6日
トランプ大統領は5日夜、アメリカ議会の上下両院の議員などを前に、今後1年の施政方針を示す一般教書演説を行いました。
この中でトランプ大統領は、「この2年で世界はわれわれの経済をうらやみ、軍事力は最強になり、アメリカは日々勝利を収めている」と成果を強調しました。
そしていわゆるねじれ議会で下院の多数派となった野党・民主党に対し、「われわれは、共に数十年に及ぶ政治的な停滞を打破し分断を埋めることができる」と述べ、党派を超えた協力を呼びかけました。
一方で「国民の命と雇用を守る移民制度を作る道義的な義務がある。私が壁を造ってみせる」と述べて、メキシコとの国境沿いの壁の建設では譲らない考えも強調しました。
またトランプ大統領は、外交面でも過去の政権が残した問題に取り組んでいるとアピールしました。
中国との貿易問題では、「今協議している新たな貿易の合意には真の構造改革が含まれていなければならない」と述べ、不公正な貿易慣行を終わらせて貿易赤字を削減するとともに、両国の隔たりが大きい知的財産権などをめぐる問題の解決を迫る方針を示しました。
また北朝鮮との非核化めぐる協議では、「やるべきことは多く残されている」として2回目の米朝首脳会談を今月27日と28日の2日間、ベトナムで開催し、成果を急ぐ考えをにじませました。
トランプ大統領は、今回の演説のテーマを「偉大さの選択」と位置づけていて、来年の大統領選挙をにらんで、内政のこう着状態を打開し、さらなる成果を目指す一方、公約を守る姿勢は強調し、一定の支持をつなぎ止めるねらいがあるとみられます。
しかし民主党は攻勢の構えを崩しておらず、いわゆる「ロシア疑惑」の捜査が大詰めを迎える中、新たな疑惑報道も相次いでいて、政権運営の先行きは依然不透明な情勢です。
「米の強さは壁でなく移民」民主が一般教書演説に反対演説 #nhk_news https://t.co/xVoCoVBqCL
— NHKニュース (@nhk_news) 2019年2月6日
トランプ大統領の一般教書演説に対して野党・民主党は、先の中間選挙で南部ジョージア州の州知事選挙に立候補して僅差で敗れたステイシー・エイブラムス氏が5日夜、反対演説を行いました。
演説でエイブラムス氏は、国境の壁の建設をめぐる与野党の対立で予算が成立せず、政府機関の一部が史上最長の1か月以上にわたり閉鎖されたことについて、「政府閉鎖は大統領による政治的なパフォーマンスで、公平性の原則に反し、私たち国民だけでなく、私たちの価値観も捨て去ったものだ」と批判しました。
そのうえで「民主党は国境を適切に守る準備ができている。農業から医療、そして起業家精神まで、アメリカを強くしているのは壁ではなく、移民の存在だ」と指摘し、壁の建設の必要性を強調して再び政府機関を閉鎖することも辞さない姿勢を示しているトランプ大統領を強く批判しました。