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北朝鮮で国の予算や国家機関の人事などを決める最高人民会議は、700人近い代議員が5年ごとに信任投票で選ばれていて、10日、任期満了に伴う選挙が行われました。

国営テレビは、キム・ジョンウン委員長が投票する様子を放送し、ピョンヤン市内の大学に設置された投票所にキム委員長が到着すると、大勢の教員や学生たちが歓声を上げて出迎えました。そしてキム委員長は笑顔で投票箱に向かい、票を投じていました。

今回の選挙について朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は10日付けの社説で、「国の経済を活性化し、人民生活の向上に向けて大きく飛躍するためにこれまで以上に政権の機能を高めることが求められている」と強調しています。

北朝鮮としては、先月の2回目の米朝首脳会談が物別れに終わり、制裁解除の見通しが立たない中、キム委員長の下、結束して、経済の立て直しに全力をあげるよう呼びかけるねらいがあります。

今回の選挙では、キム委員長を中心とした体制固めを進めるため代議員の若返りがはかられるとみられていて、新たな代議員による最初の最高人民会議は来月開かれる見通しです。

朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」は10日、1面トップに社説を掲載して、最高人民会議の代議員選挙で投票するよう国民に呼びかけました。

この中では「すべての有権者は選挙に参加して、人民の代表を選ぶことで体制を盤石なものにし、国の社会制度をさらに発展させなければならない」とするキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の発言を紹介しています。

また、3年前の党大会でキム委員長が打ち出した経済建設の5か年計画に言及し、「目標の遂行にはことしが非常に重要だ。国の経済を活性化し、人民生活の向上に向けて大きく飛躍するためにこれまで以上に政権の機能を高めることが求められている」として、今回の選挙は経済の立て直しをはかることが大きな目的だとしています。

選挙は1人の候補者に対する信任投票で、賛成票を投じることが、国の方針に賛同する意思を示すことになるとされています。

今回の選挙は、先月、2回目の米朝首脳会談が物別れに終わり、制裁解除の見通しが立たない中で行われていて、社説は、国民に投票を呼びかけることでキム委員長を中心とする体制の結束を強め、経済の立て直しに全力で取り組むよう求める内容となっています。

北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長が、最高人民会議の代議員選挙のためピョンヤン市内の工業大学に設置された投票所を訪れた様子を放送しました。

キム委員長の動静が伝えられるのは、先月、ベトナムの首都ハノイで行われた2回目の米朝首脳会談を終えて専用列車でピョンヤン駅に戻った今月5日以来です。

キム委員長が投票所に到着すると、大勢の教員や学生たちが歓声を上げながら拍手で出迎えました。そして、建物の中に入ったキム委員長は笑顔で投票箱に向かい、代議員の候補者となっている工業大学の学長に票を投じました。

投票のあと、キム委員長は、訪問した工業大学について「経済建設で非常に重要な役割を担っている。国の科学教育と経済建設をけん引する機関車としての責任を果たしてほしい」と述べたということです。

外に出てきたキム委員長は、再び歓声に応え、なかには警備を押しのけてキム委員長に近づこうとする人や大学をあとにしたキム委員長の車を走って追いかける人たちの映像も放送されました。

先月の米朝首脳会談が物別れに終わったことについて、韓国の情報機関は、北朝鮮内部で失望感が広がっているという見方を明らかにしていますが、北朝鮮としては、こうした見方を打ち消し、キム委員長が強い求心力を維持していることを強調するねらいがありそうです。

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