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消費増税の延期論がくすぶる中、自国通貨建て政府債務はデフォルト(債務不履行)しないため、インフレにならない限り財政赤字を出し続けても問題ないとする「現代貨幣理論(MMT)」が国会などで話題になっている。日本銀行黒田東彦総裁は極端な主張と切り捨てるが、肯定派、否定派いずれからも、異次元緩和とMMTは類似性が高いとの声が上がっている。

  昨年まで6年間、安倍晋三首相のアドバイザーである内閣官房参与として公共政策などを提言した藤井聡京都大学教授は肯定派。「国債発行額は増えているが、金利は下がっているという点で、日本はMMTの理論の正しさを部分的に証明している」と指摘する。日銀が2016年に導入した長短金利操作は「MMTの主張と重なるところが大きい。異次元緩和はこの時半ばMMTを織り込んだ政策に変わった」と語る。

  財政制度等審議会の分科会臨時委員も務める吉川洋立正大学長は、「MMTは財政規律を緩めても構わないという呪文みたいなものだ」と懐疑的な見方を示す。深刻化する格差拡大に対処するため、米国では財政規律をうるさく言う必要はないという主張は、「お経のようにありがたい需要があるのだろう」と語る。異次元緩和も「実際には財政ファイナンスになりつつあり、客観的に見ればMMTとの違いも今一つ分からなくなっている」と類似性を認める。

  MMTは2016年の米大統領選の民主党指名争いで善戦したバーニー・サンダース上院議員の顧問を務めたニューヨーク州立大ストーニーブルック校のステファニー・ケルトン教授が提唱。アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員ら同党議員が社会政策の原資として支持する一方、ポール・クルーグマン氏ら主流派経済学者は異端視する。

  日本が見本となっているとの見方もあり、国会でも再三取り上げられているが、黒田総裁は「極端な主張でなかなか受け入れられない」と強く否定してきた。しかし、ケルトン教授は「日本は財政政策についてのMMTの議論の大半が正しいことを証明した」と主張している。