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サウジアラビアなどが加盟するOPEC=石油輸出国機構とロシアなど非加盟の産油国は5日からオーストリアウィーンで会合を開き、今後の生産計画を協議します。

産油国の多くは歳入を原油による収入に頼っていることから国際的な原油価格を維持しようと、来年3月まで協調して減産を続けることに合意しています。

今回の会合では、世界経済の減速から来年も原油の需要の伸び悩みが続く見通しだとして減産の延長や規模の拡大を議論する見通しです。背景にはOPECなどの枠組みに加わっていないアメリカで生産の拡大が続き、原油価格が低下することへの警戒感があります。

ことしは、アメリカとイランの対立を背景にサウジアラビアの石油施設やホルムズ海峡付近でのタンカーに対する攻撃が相次いで原油の調達への懸念が表面化し、原油価格が一時、急激に値上がりする局面もありました。原油価格の動向は日本のガソリンや灯油の価格にも影響を与えるだけに日本政府や企業も産油国の判断を注視しています。

サウジアラビアなどOPEC=石油輸出国機構の加盟国と非加盟のロシアなど主な産油国原油価格の高値での維持をねらい、おととしから生産量を絞る減産を行ってきました。

現在の減産の目標は世界全体の供給量の1%余りに当たる日量120万バレルで、ことし7月にはこの方針を来年3月まで続けることで合意しています。

ただ、11月末時点での国際的な原油価格はニューヨーク原油市場のWTIの先物価格が1バレル=50ドル台半ば、ロンドン原油市場の北海産の原油先物価格が1バレル=60ドル台前半と財政を原油生産に依存するサウジアラビアなどの産油国期待する価格の水準に至っていません。

原油価格は一時、急激な値上がりを記録する局面もありました。ことし9月にサウジアラビアの石油施設が攻撃を受けたことで、ニューヨーク市場で15%、ロンドン市場で19%値上がりしたのです。それでもサウジアラビアが供給が回復したと発表したことを受けて徐々に値を下げ、およそ半月後にはほぼ攻撃前の水準となりました。

背景にはアメリカと中国の貿易摩擦などで世界経済が減速して需要が伸び悩んだことに加え、アメリカの生産量の増加があります。

アメリカはシェールオイルの開発が進んで世界一の産油国になったものの減産には加わっておらず、ことし9月には原油と石油製品の輸出量が輸入量を上回り、70年ぶりに「純輸出国」になるなど、市場での存在感を増しています。

これに対してOPECを主導するサウジアラビアとしては、今回の一連の会合を通じて来年3月までが期限の減産合意をさらに延長させることで、原油市場における存在感を維持したい考えです。

産油国の事情に詳しいアナリストのロビン・ミルズ氏は、来年の原油の需要と供給の見通しについて、アメリカと中国の貿易戦争の影響拡大の懸念が少し和らぎ、需要はことしよりいくぶん増える一方、アメリカ以外にもブラジルなどで生産拡大が見込まれている。需給のバランスを図るため、OPECなどは減産合意を延長せざるをえないだろう」と分析しています。

そのうえでミルズ氏は、原油価格の動向について、「新たな供給が多く見込まれている一方で、需要の拡大は大きくなく、値下がり圧力が続く傾向にあると考えている。ただ、供給に影響を与えるような深刻な地政学上の問題が発生した場合は、値上がりとなる可能性がある」と述べて、産油国が集中するペルシャ湾岸周辺でのアメリカなどとイランの間の対立の動向を注視する必要があるとしています。