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中国の民間のシンクタンク「恒大研究院」は先月31日、新型コロナウイルスの感染拡大による中国経済への影響をまとめたリポートを公表しました。

それによりますと、春節の連休中の小売りや飲食、それに旅行などの産業の損失が1兆人民元以上、日本円にしておよそ16兆円を超えるとしています。さらに、影響は建設業や金融業など幅広い分野に及ぶとしています。

その結果、3月から4月にかけて終息した場合でも、ことしの第1四半期のGDPの伸び率は、前の3か月の6%より2ポイント低い4%まで大幅に落ち込み、四半期ごとのデータが公表されている1992年以降最も低くなる見込みだとしています。また、年間のGDPの伸び率も去年の6.1%を0.7ポイント下回る5.4%と試算しています。

また、日本の複数のシンクタンク新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、第1四半期のGDPの伸び率が4%台に落ち込むという見通しを相次いで発表しています。

中国経済アメリカとの貿易摩擦に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で新たなリスクを抱えることになり、世界第2位の経済大国の景気に急ブレーキがかかることで世界経済の先行きにも不透明感が増しそうです。

中国有数の観光地の上海は、ことしは新型のコロナウイルスの感染が拡大したことを受けて、市内にあるほとんどの観光施設は閉鎖され、閑散としていました。

多くの日本人も訪れる上海にあるディズニーランドは先月25日から当面、閉園するとして営業再開の見通しはたっていません。また、1921年に第1回の共産党大会が開かれた場所にある記念館など中国で人気の観光施設も当面、閉められる見通しです。

さらに、上海市中心部で歴史的な建造物がある「ワイタン(外灘)」と呼ばれる観光地には、去年の春節の時期にのべ220万人が訪れたということですが、ことしは人影がまばらでした。

上海市当局によりますと、去年、春節にあわせた連休の7日間に上海を訪れた人はのべ509万人で、観光収入は66億人民元、1030億円あまりだったということですが、ことしはいずれも大幅に落ち込み、経済にも大きな影響が出ることが予想されます。

JETRO=日本貿易振興機構上海事務所の小栗道明所長は「経済活動からするとマイナスのインパクトは大きいと思う。中国東部にあたる華東地域だけで2万社近い日本企業があると言われていて、ここで生産活動、販売活動をしている企業がたくさんある。これだけ市民生活が止まって経済活動も止まるということなので、当然、企業の業績への影響も避けられないと思う。早く沈静化が進んで、日本企業の活動、中国経済へのマイナスがとどめられることを期待したいところだが、本当に先行きは不透明だ」と話しています。

アップルは感染の拡大を防ぐため、中国にある42の店舗を今月9日まで臨時で休業すると発表しました。

また、アップルはiPhoneなどの組み立てを中国で行っていて、武漢にも複数の部品の調達先があるということですが、代わりの仕入れ先を確保するとしています。

アメリカの調査会社IDCはことしの世界のスマートフォンの出荷台数について5G対応機種の普及によって増加に転じるという見通しを示していました。

しかし、中国での新型のコロナウイルスの感染拡大が各社の部品の供給網に影響を与える可能性があるとしてリスク要因になると指摘しています。

タイには去年、3980万人近くの外国人旅行客が訪れ、このうち1100万人近くが中国からの旅行者でした。しかし、中国からの団体旅行が中止されたことでツアーのキャンセルが相次いでいます。

こうした影響についてタイ商工会議所大学がまとめた試算によりますと、感染拡大が1か月ほどで終息した場合でも中国からの旅行客は年間184万人減少し、観光関連の損失は日本円でおよそ4100億円にのぼるとしています。

感染拡大の終息が5月ごろまで長引けば、中国からの旅行客は年間297万人減少し、観光関連の損失はおよそ6600億円に拡大するとみています。

タイ商工会議所大学はことしのタイの経済成長率を当初、プラス2.8%と予測していましたが、こうした観光業への影響が経済成長率を0.6%から1%あまり押し下げる可能性があるとしています。

こうした中、タイ政府は先週末の経済閣僚会議で観光事業者向けに銀行ローンや所得税の支払い猶予などの支援策を打ち出しました。

タイ政府の責任者は「観光業はわが国にとって、経済成長のけん引役であり、重視している」と述べ、全面的に支援する姿勢を強調しましたが、タイ経済への打撃は避けられない状況です。

新型のコロナウイルスの感染拡大を受けて、北京で在宅勤務を求める通達が出されるなか、中国外務省は出席する記者の健康に配慮するなどとして、3日からインターネットを使って質問を受け付ける、異例の記者会見を始めました。

質問は中国で広く使われているSNS「ウィーチャット」のグループチャットの機能を使ってあらかじめ登録した記者に限って質問を受け付ける形で行われました。

最初に中国外務省の華春瑩報道官が「非常時であり、特殊な方法で行います。早くいつもどおり、皆さんと記者会見場でお会いできることを信じています」と書き込んだあと、質問を受け付けていました。

この記者会見は1時間余り続き、合わせて20の質問に応じていました。最後に華報道官はみずからの声をグループチャットに投稿し、記者会見への参加に感謝するとともに、「記者の皆さん、外出するときはマスクをつけてください」と注意していました。

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