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東京マラソン新型コロナウイルスの感染拡大を受けて一般のランナーの参加が見送られ、オリンピックの男子の代表選考に関わるトップ選手によるレースに絞って行われました。

男子マラソンの代表は去年9月のMGCで2人が内定し、東京マラソンと、来週のびわ湖毎日マラソンで2時間5分50秒の日本記録を更新した最も速いタイムの選手が最後の1人に内定します。

レースは前半、おととしのアジア大会で金メダルの井上大仁選手と大迫選手が日本記録を大幅に更新するペースで進む先頭集団で走り、前の日本記録保持者の設楽悠太選手は後続の集団につけました。

22キロすぎ、先頭集団でエチオピアなどの外国選手のペースが上がると大迫選手が遅れはじめ、集団が崩れました。

大迫選手は30キロでは前を行く井上選手から10秒以上遅れましたが、その後、再びペースを上げて32キロすぎ井上選手たちの集団に追いつくと、そのまま引き離しました。

焦点は大迫選手がみずからの日本記録を更新できるかに絞られ、終盤、ペースがやや落ちる場面もありましたが最後まで粘りを見せました。

大迫選手はみずからがおととしマークした日本記録2時間5分50秒を21秒更新して日本選手最高の4位に入り、オリンピック代表に大きく近づきました。

男子マラソンは、1週間後のびわ湖毎日マラソンで大迫選手よりも速いタイムの選手が出なければ大迫選手が代表に内定します。

注目された設楽選手は2時間7分45秒で16位、井上選手は2時間9分34秒で26位でした。

優勝はエチオピアのビルハヌ・レゲセ選手で2時間4分15秒で2連覇を果たしました。

大迫選手は「ずっとねらっていた大会で次につながるいい走りができた。9月のMGCで3位になってから非常に苦しい戦いだったが、しっかり走れてよかった」とあふれる涙を抑えながら話しました。

レース展開については「なるべく自分のキャパシティーを超えないようについていく気持ちで、後ろから様子を見ながら走っていた。前に追いついた時にちょっとペースが遅かったので前に出て、38キロくらいからは日本新がいけるのかなと思った」と振り返りました。

東京オリンピックに向けては「自分自身はベストを尽くせたのであとはしっかり待ちたい。オリンピックが決まれば、また皆さんに元気を与える走りができるようしっかり練習していきたい」と話していました。

大迫選手は東京都出身の28歳。
日本選手でただ一人2時間5分台のタイムを持つ日本記録保持者です。

長野県の佐久長聖高校では全国高校駅伝区間賞を獲得して初優勝を果たし、早稲田大学でもエースとして箱根駅伝などで活躍しました。

大学卒業後は実業団に進みましたが、2015年にプロ選手としてアメリカに渡り、翌年のリオデジャネイロオリンピックには1万mと5000mで出場しました。

ラソンは初挑戦となる2017年のボストンマラソンで3位、福岡国際マラソンでも3位といずれも伝統ある大会で好成績を収め、おととしのシカゴマラソンで日本選手初の2時間5分台となる2時間5分50秒の日本新記録をマークしました。

去年行われた東京オリンピックの代表選考レース、MGC=マラソングランドチャンピオンシップでは3位に終わり、その時点での代表内定は得られず今回の東京マラソンに臨みました。

勝負への強いこだわりの一方で冷静なレース運びも特長で、東京オリンピックでは日本の男子選手として1992年のバルセロナ大会以来となるマラソンでのメダル獲得が期待されています。

大迫選手のライバルとして注目されながらレースでは第2集団につけて16位に終わった設楽選手はフィニッシュ後、表情は崩さなかったものの報道陣の問いかけに応じることなく会場をあとにしました。

ラソン代表の最後の1枠は男女ともに来週8日に行われる選考レースの結果を受けて決まります。

去年9月の代表選考レース、MGCで、
▽男子は1位の中村匠吾選手と2位の服部勇馬選手が、
▽女子は1位の前田穂南選手と2位の鈴木亜由子選手が、内定しました。

男女とも最後の1枠は今月8日までの3つのレースの結果を受けて決まります。

MGCでは本番で力を発揮できる高い「調整能力」が求められましたが、最後の1枠はスピードを重視し、国内で行われるそれぞれ3つのレースで「派遣設定記録」を切った選手の中から、最も記録がよかった選手が選ばれます。

派遣設定記録は
▽男子が日本記録を更新する2時間5分49秒、
▽女子が2時間22分22秒と、ハードルの高いタイムです。

対象レースは「MGCファイナルチャレンジ」と呼ばれ、男子が
▽去年12月の福岡国際マラソン
▽1日の東京マラソン
▽今月8日のびわ湖毎日マラソン
女子が
▽去年12月のさいたま国際マラソン
▽ことし1月の大阪国際女子マラソン
▽今月8日の名古屋ウィメンズマラソンです。

男子は東京マラソンで大迫選手が設定タイムを切る2時間5分29秒の日本新記録をマークして代表の最後の1枠に大きく近づきました。

女子は大阪国際女子マラソン松田瑞生選手が設定記録より速い2時間21分47秒のタイムで優勝し、こちらも代表に大きく近づいています。

来週、最後の選考レースとして、男子はびわ湖毎日マラソンが、女子は名古屋ウィメンズマラソンが行われ、大迫選手と松田選手より速いタイムの選手が出なければ大迫選手と松田選手が代表に内定します。

実業団陸上競技連合は東京オリンピックに向けた強化策として、日本記録を更新した選手に1億円の褒賞金を贈る制度を設け、おととしには記録を更新した設楽悠太選手と大迫選手にそれぞれ1億円が贈られました。

大迫選手は1日行われた東京マラソンで自身の記録を21秒更新する2時間5分29秒の日本新記録をマークし、レースのあと1億円の目録を受け取りました。

褒賞金は年度が違えば同じ選手でも再び受け取ることができるルールで、大迫選手には2回目の贈呈となりました。

大迫選手は記者会見で「喜び」を聞かれたのに対し、「喜びというよりは緊張感があるレースを終えてほっとした部分がある」と話し、「使いみち」「これから育っていく選手のために使っていくこともあるのかなと思う」と話し、みずからが取り組んでいる後進の育成にも活用したい考えを明らかにしました。

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