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タイでは6年前の軍事クーデターを主導したプラユット首相が去年の総選挙の後も引き続き政権を率いていますが、プラユット政権は軍の影響力を背景に強権的な姿勢をとっているとの批判が出ています。

バンコク中心部では23日、学生などが反政府集会を開き、強権的な政治を改めるよう訴えました。集会に参加した女性は「今のタイは民主主義の国だといえるでしょうか。経済も行き詰まっていて、政治が悪いせいだと思います」と話していました。

こうした抗議集会は、先月半ば以降連日のように各地で行われ、若者たちが議会の解散や憲法の改正などを訴えています。先週の集会では警察の発表で1万人以上が集まり、6年前のクーデター以降最大規模となりました。

タイでは、6年前の軍事クーデターを主導したプラユット首相が去年の総選挙で民政復帰を果たした後も政権の座にとどまり、強権的な姿勢をとっていると指摘されています。

一方、軍の影響力の排除を掲げて若者から圧倒的な支持を集め、総選挙では第3党に躍進した野党「新未来党」の党首は選挙管理委員会から議員資格をはく奪された上、憲法裁判所は違法な資金のやりとりを理由に党の解体を命じました。

こうした措置をきっかけに、若者たちの反政府集会が始まったといわれています。

プラユット政権は、新型コロナウイルスの感染防止対策を理由にことし3月、非常事態宣言を出して集会を禁止してデモの抑え込みを図りました。その後、感染の拡大は抑えられ、1日の新たな感染者の数がほぼ1ケタとなった先月、若者たちは集会を再開させ、プラユット政権がいっそう強権化しているとして、議会の解散のほか、軍の政治に対する影響力を持たせることを可能にしている憲法の改正などを要求しています。

新型コロナウイルスで経済の悪化が続き、社会に閉塞感が漂う中、若者たちの怒りは「真の民主化」を強く求める動きを加速させています。

政府に対する抗議の動きが急速に広がる中、タイの警察は、今月に入ってから集会に参加した弁護士のアノン氏をはじめ、学生など10人以上を扇動の疑いなどで相次いで逮捕しています。

また、プラユット首相は11日、「集会を開く権利はあるが、一線を越えている」などと話し、けん制しました。

一方で、こうした抗議活動を政権側が力で押さえつければ、一層のの反発を招くおそれもあるだけに政府が対応に苦慮している様子もうかがえます。

これまでのところ、政府は抗議活動自体は認める姿勢を示しているほか、警察に逮捕された一部の参加者もその後、保釈されています。プラユット首相もこのところ、憲法の改正に前向きに取り組む姿勢を示しています。

ただ、若者たちが求める内容をどこまで取り入れるかは不透明で、政権側としては落としどころを探りながら時間を稼ぎ、事態の沈静化を図りたい考えもあるとみられます。

若者たちによる抗議活動がタイ各地に広がりをみせるなか、抗議集会の会場では、一部の参加者から絶対的な権威とされてきた王室のあり方について公然と問う声もあがり始めています。

今月10日にタイの大学で開かれた集会では、抗議活動を主導するメンバーの1人で人権派弁護士のアノン・ナムパー氏が登壇し、王室をめぐる議論は敬意を払いながらも公に行われるべきだと呼びかけました。

続いて、一部の学生たちが王室への中傷を禁じる不敬罪の廃止など王室の改革を訴えました。

タイでは、これまで王室のあり方を公然と議論することは、国民の間でタブー視されてきただけに、異例の事態と言えます。

一方、バンコクでは、王室を支持する人たちがこうした動きに対抗する別の抗議集会を開くようになっていて、王室をめぐって国民の間で対立も生じています。

タイの政治に詳しい法政大学の浅見靖仁教授は若い世代の間で政府に対する不満が高まる中、「若者たちの要求を何らかの形で認めないことには抗議の動きが終わる理由はないだろう」として、政権側が若者たちの要求に何らかの対応を示さないかぎり、反政府集会は今後さらに広がるという見通しを示しました。

そのうえで、今後、実施が検討されている地方議会の選挙で若者たちの声を反映させた政党がどこまで支持を広げるかが焦点の1つになるだろうという考えを示しました。

一方で、今後緊張が高まり軍が強硬策に出る可能性も捨てきれないとしていて「軍の強硬派は厳しく取り締まるしかないという話をしている。プラユット首相がどれぐらい軍内の強硬派を押さえることができるかも一つのポイントになると思う」としています。

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