イギリス コロナ拡大で外出制限“変異ウイルス” 周辺国も対応 #nhk_news https://t.co/b61WpTwGAq
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年12月20日
イギリスでは、首都ロンドンを含む南東部で、変異した新型コロナウイルスによって感染が急速に拡大しているとみられることから、この地域では▽正当な理由がないかぎり外出を控えることや、▽小売店は生活必需品を販売する店を除いて原則として営業しないことなどを求める厳しい対策が20日から始まりました。
ロンドンでこうした厳しい対策がとられるのはこの春以来3回目で、20日の中心部は、クリスマスの買い物客でにぎわっていた前日までとは一転して、閑散としていました。
ハンコック保健相は20日、地元テレビの番組で、「変異型のウイルスを制御できなくなった」と述べ、厳しい対策への理解を求めました。
イギリス政府は、変異したウイルスは感染力が強いとみられるものの、重症化のリスクが高まることを示す根拠はないとしています。
イギリスで、変異した新型コロナウイルスによって感染が急速に拡大しているとみられることを受け、ヨーロッパ各国は相次いで対応に乗り出しています。
▽オランダは20日、イギリスからの旅客機の受け入れを来月1日まで禁止する措置を始めました。
また、▽ドイツも21日から今月末まで同様の措置を取ることを決めたほか、▽海底トンネルでイギリスとつながるフランスも21日から2日間、イギリスからの渡航や貨物の輸送を空路、陸路ともに停止することを決めました。
さらに、▽ベルギーやオーストリアも同様の措置を始めるとしています。
各国が相次いで対策を打ち出したことを受けて、EUは20日、加盟国の間で素早い情報共有や政治決定を行うための緊急態勢をとることを決め、まずは週明けに専門家による会合を開いて状況の分析を急ぐことにしています。
クリスマス休暇を前に人の往来が増えると予想されることから、ヨーロッパ各国は神経をとがらせています。
変異ウイルス拡大 英からの旅客機受け入れ停止 欧州諸国が警戒 #nhk_news https://t.co/XHO7JqXB8F
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年12月21日
イギリスでは、首都ロンドンを含む南東部で、変異した新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受けて、20日から急きょこの地域での外出制限など厳しい感染対策が導入されました。
イギリス政府は、変異したウイルスは感染力が強いとみられるものの、重症化のリスクが高まることを示す根拠はないとしています。
これを受けてヨーロッパ諸国は警戒を強めていて、ドイツやイタリア、それにオランダなど各国がイギリスからの旅客機の受け入れを停止する措置をとることを決めました。
また、フランスは、旅客機のほか、イギリスからのトラックによる輸送なども21日から2日間、停止するとしています。
これについてイギリスではシャップス運輸相が「重大な混乱が見込まれる」として、運送事業者などに対しフランスに向かわないよう呼びかけています。
また、イギリスの業界団体の食品・飲料連盟は「クリスマスの時期の生鮮食品の供給や、食品や飲料の輸出に深刻な影響を引き起こすおそれがある」と懸念を示しています。
イギリス政府は、21日に緊急の閣僚会議を開いて対応を協議するとみられていて市民生活への影響が広がりかねない事態になっています。
WHO=世界保健機関で新型コロナウイルス対応の技術責任者を務めるバンケルコフ氏は20日、イギリスの公共放送BBCの番組に出演し、変異した同じウイルスがイギリスのほか、デンマーク、オランダ、それにオーストラリアでも確認されたことを明らかにしました。
そのうえでバンケルコフ氏は「ウイルスの変異自体は常に起きうる。大切なのは、今回の変異で何が起きるのか理解することだ」と述べ、変異したウイルスの特性を見極める必要があるという考えを示しました。
イタリア政府は20日、イギリスからの旅客機の受け入れを禁止し、過去14日間にイギリスに滞在した旅行客の入国も禁じると発表しました。
また、すでにイギリスからイタリアに入国した人に検査を呼びかけていて、これまでに1人が変異した新型コロナウイルスに感染していることを確認したということで、隔離を行うとともに家族など濃厚接触者の調査を行っているとしています。
イギリスで、変異した新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、EU域外の国もイギリスなどからの旅客機の受け入れを相次いで停止しています。
中東のサウジアラビアは20日、国営通信が内務省当局者の話として、すべての国際線に加え、陸路や海上からの入国を1週間にわたって停止する緊急措置をとると伝えました。
隣国のクウェートも21日からイギリスを「高リスク国」に加え、旅客機の受け入れを停止すると発表しました。
また、トルコも20日、イギリスのほか、変異したウイルスが確認されたデンマークやオランダなどからの旅客機の受け入れを一時的に停止すると発表しました。
イギリスの保健当局は、変異したウイルスが、重症化や体の免疫の働き、あるいはワクチンの効果に何らかの影響を与えることを示す証拠は、今のところはないとしています。
また、北半球で冬に流行するインフルエンザウイルスが毎年変異するように、ウイルスが変異するのは珍しいことではないとしています。
今回確認された変異型は、ウイルスの表面に「とげ」のように突き出ている「スパイクたんぱく質」と呼ばれる部分に変異があるということです。
この部分は、ウイルスがヒトの細胞に入り込む際に重要な働きをすることがわかっていて、保健当局は、この部分の変化は、よりヒトに感染しやすくなったり、ヒトからヒトに広がりやすくなったりすることにつながる場合もあるとしています。
一方、ジョンソン首相が19日に「従来よりも最大で70%感染しやすいようだ」と述べたことについて、公共放送BBCは専門家の発言を引用して「何かを言うにはまだ早すぎる。しかし、これまでよりも、感染の広がりはとても速い。注視することが重要だ」と伝えています。
BBCは、この変異型が初めて確認されたのはことし9月で、11月にはロンドンで感染が確認されたケースの、およそ4分の1で見つかったとしています。
また、今月中旬には、ロンドンで感染が確認されたケースの3分の2近くで見つかるようになったということで「変異したウイルスによって重症化するという証拠はないが、感染力が強まれば、医療現場の負担が強まる」と伝えています。
#EU
イギリスとEUの自由貿易協定 締結期限迫るも双方の溝埋まらず #nhk_news https://t.co/XwVaaFRnLX
— NHKニュース (@nhk_news) 2020年12月20日
イギリスがことし1月にEUを離脱したあと、双方は年末を期限に自由貿易協定などの締結に向けて交渉を続けてきましたが、イギリスの海域での漁業権などをめぐる意見の対立が解消されていません。
合意した場合に承認するかどうか判断するEUの議会=ヨーロッパ議会の各会派は先週、「年内に承認するには、20日までに合意する必要がある」との認識を示し、合意を急ぐよう改めて求めました。
しかしEUのバルニエ首席交渉官は「交渉は極めて難しい」との認識を示し、イギリスのゴーブ内閣府担当相も議会の委員会で、「合意できる確率は50%以下だ」と述べていて、20日になっても交渉が進展したとの情報はなく、合意できるのかどうか不透明な情勢です。
合意の有無にかかわらず年明けからは双方の貿易に通関手続きが必要となり、生活必需品などの物流に影響が出ることが予想されています。
さらに協定が締結できなければ、新たに関税がかかるなど経済や市民生活にとって大きな打撃となるだけに、協定の締結の期限が10日後に迫る中、懸念が強まっています。
イギリスは、移行期間の終了にともなって、モノの移動が自由なEUの経済圏から正式に抜けることになります。
これを受けて年明けから、自由貿易協定のあるなしにかかわらず、双方を行き来するモノをチェックする「通関手続き」が新たに始まります。
貿易の際には荷物の内容や数、それに金額などを申告する必要があり、手続きに不備があれば国境を通過できなくなります。
イギリス政府は、年明けに起こる最悪のシナリオを示していて、物流の大動脈であるドーバー海峡を経由してEU側に向かうトラックのうち最大で半数が書類などの準備を整えられず、物流が通常の60%から80%の水準に落ち込む可能性があるとしています。
また、イギリス側には最大7000台のトラックの列ができて輸送に最大2日の遅れが発生するおそれがあるとしていて、ドーバー海峡の周辺では物流が大きく混乱すると見込まれています。
イギリスでは暮らしに欠かせない野菜など生鮮食品の輸送が年明けから遅れることへの懸念が強まっています。
イギリスは食品をEUからの輸入に頼っていて、国内で販売される野菜や果物ではおよそ4割にのぼります。
ロンドン西部にある青果店の店頭にはスペイン産やイタリア産のトマトやオレンジなどが並んでいて、その多くはドーバー海峡を経由して運ばれてくるということです。
この店は年明けの物流の混乱を見越してオリーブオイルやトマトの瓶詰といった日持ちする商品は1年分の在庫を確保しました。
しかし、野菜や果物を今のうちから置いておくことはできないため対策のとりようがないと頭を抱えています。
経営者のアンドレアス・ジオルジオさんは「野菜や果物の輸送に遅れが出るのは間違いないでしょう。イギリスはEUからの食品なしではやっていけません。これまで誇りを持って最高のものを売ってきたのに、もし品質が落ちるようなことがあったら大きな打撃になります」と話しています。
現地では、年明けからの物流の停滞を避けようと対策を急ぐところもあります。
イギリスを拠点にする日系の物流会社「英国郵船ロジスティクス」は、EUの病院などに向けた医薬品の輸送を担っています。
EUへの輸送ルートはドーバー海峡経由が中心でしたが、渋滞に巻き込まれることを避けるため、別のルートの確保を進めています。
これまで候補となるルートで実際にトラックを走らせてスムーズに輸送できるかを検証し、ドーバー海峡とは反対側のイギリス北部の港からフェリーを使ってオランダに入るルートなどを活用することにしています。
さらに通関手続きにあたる部署の担当者を増やし、24時間体制で申告などができる体制を整える予定です。
英国郵船ロジスティクスの小林将広取締役は「医薬品など患者の命にかかわる輸送を行っているので、通関手続きが始まる影響は非常に大きいです。とにかく物流を止めないことを念頭に対応を準備しています」と話しています。
ヨーロッパ大陸とイギリスを結ぶ物流の大動脈、ドーバー海峡では、移行期間の終了を前にすでに混乱が深刻化しています。
海峡に面したフランス側の町カレーは、フェリーの発着場のほか、近郊には海底トンネルの出入り口があり、物資を運ぶトラックが多く行き交っていますが、ことし10月ごろから、交通量が急激に増え、トンネルに向かう高速道路では、連日、トラックの列が10キロ以上にわたって続いています。
地元自治体によりますと、ドーバー海峡を渡るトラックは通常、1日平均1万2000台ですが、今月16日にはこれまでで最も多い、1万8000台を記録しました。
交通量が急増した理由は、移行期間が終了する年末を前に、イギリス側で在庫を増やしておこうという、いわば駆け込み需要にあります。
カレーから車で30分ほどの町にあるビールメーカーでは、イギリスへの出荷が売り上げの1割を占めてきましたが、10月から注文が増え始め、今ではイギリスへの出荷量は例年を20%上回っています。
このためイギリス向けの配送用トラックを1.5倍の120台に増やして対応していますが、道路の混雑が激しく、ドーバー海峡を渡るのに、通常なら2時間のところ、8時間かかることも多いということです。
1日でイギリスの配送先まで往復できていたのが今では3日かかることも珍しくなく、燃料代や運転手の手当などで、結果的に週に5万ユーロ、日本円で630万円ほどの損失が出る状態だといいます。
ビールメーカーのアンドレ・ペクール社長は「利益どころか損失が出ています。せっかく多くの注文があるのに配送に7、8時間もかかるのは腹立たしい。すべてが混乱しています」と疲れた様子で話していました。